文化人類学の簡単な紹介、東北大学での文化人類学の学び方、本研究室卒業・修了生の進路について掲載しています。ページ内の移動は以下のリンクをご利用ください。
平成5年4月、文学部内に大学院博士課程(前・後期)を併せ持つ独立専攻として発足しました。現在の教員は「東アジア社会のビジネス・ネットワーク」を主要研究テーマとする沼崎一郎教授、ならびに「中国の家族・親族と儀礼」を主要研究テーマとする川口幸大准教授です。
なぜ、日本人は何でも食べるのに、イスラム教徒は決してブタを食べないのだろう?なぜ、ベドウィンの男は父の兄弟の娘と結婚すべきだと考えるのに、アメリカ人はイトコとの結婚は避けるべきだと考えるのだろう?なぜ、韓国では家系を父方でたどるのに、トロブリアンド諸島では母方でたどるのだろう?世界を見渡すと、こんな不思議な文化の「違い」が沢山あります。なぜ人間はこんなにも違うのか?よし、行ってみよう。この目で観てみよう。そして、あれこれ比べて考えてみよう。これが、文化人類学です。
文化人類学は、もともとは非ヨーロッパ世界、特に今では第三世界と呼ばれる旧植民地世界の諸民族、それも文字や文献記録を持たない、いわゆる「未開人」の個性豊かな文化の研究から始まった学問です。しかし、今日では、いわゆる「先進国」も研究の対象とするようになりました。ニューギニア高地やアマゾンの奥地だけでなく、日本の団地やアメリカの大企業にも、文化人類学者は調査に出向くようになっています。さらに、世界がどんどん小さくなり、国際交流が進むに連れて、経済開発や技術協力、エイズの防止や人種差別の撤廃といった現代的な課題にも、文化人類学は取り組み始めています。要するに、人間のすること、人間の考えることなら何でも、文化人類学の研究対象になるのです。
このように、文化人類学の研究対象は広がってきましたが、文化人類学の基本的な性格は変わっていません。それは、フィールドワークという調査法を重視する点です。文化人類学者は、世界中どこへでも赴き、長期間住み着いて、自分の目で観、自分の耳で聞いて、文化を研究します。これが、フィールドワークです。ニューギニア高地人の文化を知りたければ、実際にニューギニアに出かけ、そこでサゴヤシやコウモリを食べてみるわけです。様々な人々の日々の活動に自分も参加しながら、文化を観察するのです。一人で海外留学に出かける学生も少なくありません。
文化人類学者には詩人の魂と科学者の目が必要だと、アメリカの文化人類学者ルース・ベネディクトは言っています。文化の「違い」を寛容に受け入れ、「違い」の価値を感じ取れる鋭敏な感性と、「違い」を冷静に観察し、「違い」の意味を読み取れる鋭利な知性が、文化人類学者には必要だというのです。日本を飛び出して、異質な世界に飛び込みたいという人を、文化人類学研究室は待っています。熱いハートとクールな頭脳を持ち、ロマンと科学を追い求める、そんなあなたを文化人類学研究室は待っています。
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東北大学で文化人類学を学んだ学生は、現在さまざまな機関・企業で活躍しています。