研究科長・学部長から

2023年4月1日

ごあいさつ

 東北大学文学部・文学研究科は1922年に東北帝国大学に設置された法文学部を前身としており、戦後になって法学部、経済学部と分かれて独立した学部となりました。2022年はこの法文学部設置から100年目にあたり、文学部・文学研究科では「知性の幹と、感性の翼と」をテーマに掲げ数々の100周年記念事業を開催いたしました。

 法文学部が設立された1922年の直前の1918年から1920年にかけてはいわゆるスペイン風邪のパンデミックが起こり、45万もの命が奪われています。設立翌年の1923年には関東大震災も起こっておりますし、政治的に見ても1925年には治安維持法が制定され大正デモクラシーが転換点を迎えます。まさに多難の中での船出であったといえるでしょう。しかしそのような社会の情勢にもかかわらず、いやそれだからこそ、私たちの先人たちはこの仙台の地に知性の木を根付かせようと努力を重ね、そこから多くの研究者や社会人が羽ばたいて、社会の困難に立ち向かいました。

 現在、私たちはまた大きな変化と苦難の時代の中にあります。コロナ禍やウクライナ戦争などに翻弄される中、従来当たり前だと思ってきた社会や個人のあり方が機能不全に陥り、根本的な反省を迫られています。このような時こそ、人間とは何か、社会とは何かをしっかりじっくりと考える人文学・社会科学が必要となってくるときです。

 2023年は法文学部に日本初の文系女子学生が入学して100年目にあたります。また、2023年10月からは大学院に英語だけで修了できる国際大学院コース(IGSAL)が本格的に始動します。文学部・文学研究科では東北大学のモットーである「門戸開放」の精神にのっとり、多様な価値観や個性を持った人々がお互いを尊重しながら高め合うことができる場としてさらに成長をしていきたいと考えています。

木村敏明 文学研究科長・文学部長

東北大学 大学院文学研究科長・文学部長
木村 敏明