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KIMURA Tadafumi

木村 雅史 (KIMURA Tadafumi

1978年生まれ。専攻は、理論社会学。博士後期課程3年。正村ゼミ。

E・ゴフマンの理論研究。現在は、「対面的相互行為」の理論とされるゴフマンの理論を、メディアを介したコミュニケーションへも適用可能にする枠組みを得るために『フレーム分析』(1974)を読み進めている。教育社会学におけるハイパー・メリトクラシーの議論、いじめ、不登校等、現代社会のコミュニケーションをめぐる諸問題に関心をもっている。

現在の研究関心

「意欲」、「創造性」、「個性」そして「コミュニケーション能力」等、曖昧で測ることの難しい指標が、教育可能な「能力」として設定され、そのような「能力」に準拠して教育制度、政策が設計され、教育言説が流布している現代社会のありようは、教育社会学の分野で「ハイパー・メリトクラシー」とカテゴライズされ、現在、盛んに議論されている。「ハイパー・メリトクラシー」は、社会的不平等に関わる問題を個人の「能力」にすり替える隠れ蓑になり得るという点から批判されねばならない。

こうした議論と問題意識を共有しながらも、本研究はミクロ的な視点から、すなわち「日常の」対面的相互行為、コミュニケーション(過程)において「個性」、「コミュニケーション能力」、そして「キャラ」といったものが、いかにして機能しているのか、どこまでが「相互行為秩序」や「状況」のなかで社会的に構築、達成されていくものなのか、等を考察していくことを目指す。そのために主としてE.ゴフマンの理論に依拠しながら、以下のような作業を行い、有効な分析枠組み、概念を析出する。

  1. デュルケム『宗教生活の原初形態』とゴフマン『儀礼としての相互行為』との関係を理論的に整理する。人格崇拝論として展開されているゴフマンの相互行為秩序論、デュルケムからの影響関係を検討することにより、相互行為(秩序)と人格・個人概念との関係について有効な分析枠組みを獲得する。
  2. ゴフマン『フレーム分析』の検討。『フレーム分析』は、対面的相互行為とそれ以外の様々な経験の形式との「相互影響関係」としてアクティヴィティー(=「状況」の参加者にとっての「ここで進行していること」)、ないし現実を捉える際、有効な枠組みを提供する。対面的相互行為、それに社会的規制を与えている物理的環境に縛られたゴフマンの「相互行為秩序」研究、「状況」分析を対面的相互行為秩序以外の相互行為、たとえばメディアを介したコミュニケーションの場へも拡張していき、メディア研究(たとえばメイロウィッツ『場所感の喪失』)などと接合を図っていくと同時にメディアを介したコミュニケーション及びメディア体験との相互影響関係のもとに対面的相互行為に「固有な」規制、領域として維持、再形成された規制、領域について考え直していきたい。
  3. 『フレーム分析』における「人ー役割図式」概念を検討することによる状況的パースペクティブからのアプローチ。ゴフマンは、オーディエンスの注意の焦点が、パフォーマー概念が包摂している多様な意味の層(パーソナル・アイデンティティー、役割、キャラ、能力等)のどこに向うのかということと、相互行為、メディア体験の形式とを関連づけて論じていく。相互行為、コミュニケーション過程で「個性」なり「キャラ」なりが主題化されていく事態、ありようもゴフマンにとっては、特定のフレームとそれによって焦点化されるアクティヴィティー(=「ここで進行していること」)の問題として現れている。

その他の関心

  • 2.の作業との関わりで、「メディア体験」としてのマンガ・アニメを論じることに関心をもっています。現在、東北大学情報科学研究所、メディア情報学講座の院生の方々とマンガ・アニメ論に関する読書会を行っています。「マンガを論じること」に興味のある方がいらっしゃいましたら、是非、お声がけください。
  • 上に述べたような研究関心から感情社会学にも関心をもっております。

主要業績

論文

  • 2007b近刊, 「贈与と供犠の接合に向けて」『文化』70.
  • 2007a,「E・ゴフマンの相互行為分析の展開ー『フレーム分析』における「括弧入れ」概念の意義ー」『社会学研究』81:23-46.

リンク

研究カテゴリ

[理論社会学,ミクロ社会学]


Last Modified: 2007年07月18日 00時58分37秒

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