俳句(2015)
長谷川 冬虹(とうこう)
2021年,2020年,2019年,2018年,2017年,2016年, 2009年〜14年, 第一句集『緑雨』
古志2015年12月号
大谷弘至主宰選
向日葵ハ暑サニ負ケヌデクノボー
向日葵やうち重なりて斃れたる
古志2015年11月号
大谷弘至主宰選
産土の川の色なる鮎の色
掛絵より逃げて金魚は鉢の中
鉢の中天空無辺の金魚かな
蟬しぐれ賢治の邑の磐座よ
長谷川櫂先生選
白桃や双子なれども姉の貌
西瓜食ふいま還暦のわれらかな
古志2015年10月号
大谷弘至主宰選
蛍火の一つとなりて戻るとや
彼の世より今宵現る蛍かな
古志2015年9月号
同人月の一句
月餅てふ小さき月が掌の中に
大谷弘至主宰選
応援歌五月を統ぶる君らかな
をみなごの応援団長夏統ぶる
緑雨してまこと青葉の城となる
長谷川櫂先生選
花ちつてきりりと立てり牡丹の木
古志2015年8月号
大谷弘至主宰選
舟形山いま舟形のはだら雪
密やかに著莪姫著莪や峠道
屛風絵と紫競ふ燕子花
古志2015年7月号
大谷弘至主宰選
波立ちて小国川いま雪解川
花咲きて父の忌近き虚子忌かな
真白きを辛夷と答ふ大峠
長谷川櫂先生選
厳かに三一一は明けたまふ
大事ありてけふ卒業す君らかな
けふよりは高校生ぞ初緑
古志2015年6月号
大谷弘至主宰選
受験子の太き声にてただいまと
災四年大地を讃ふ卒業歌
卒業歌けふの歌声忘るなよ
古志2015年5月号
大谷弘至主宰選
答案のキラキラネーム春隣
東京に焦がれる吾子や寒卵
長谷川櫂先生選
しらす丼かつこみ鎌倉初句会
かりかりと六十二個の福の豆
古志2015年4月号
同人花の一句
はにかみて予定日答ふ花の頃
大谷弘至主宰選
太箸や大睨みして祝ひ鯛
長谷川櫂先生選
米寿喜寿うち揃ひたり粥柱
待春の花びら餅よ城の町
題詠欄・飛岡光枝選
【蚕豆】
お多福豆母は米寿となり給ふ
古志2015年3月号
大谷弘至主宰選
降りしきり雪ふりしづむしじまかな
亡き人の温顔慈顔賀状書く
忘年会傘寿も喜寿も揃ひたる
長谷川櫂先生選
健やかに今年米にて鯛茶漬
題詠欄・飛岡光枝選
【春の潮】
この浜も四年経ちたる春の潮
古志2015年2月号
大谷弘至主宰選
竜胆やおもだち母似の十五歳
古志2015年1月号
同人の一句 新春
英訳の百代の過客読始
大谷弘至主宰選
白河の関守ならん穴まどひ
長谷川櫂先生選
新涼や伝頼朝の御姿
題詠欄・飛岡光枝選
【春着】
おしらさま今宵重ねる春着かな