非科学的知識の生産・流通と「卵子の老化」パニック

研究成果報告書
田中 重人 <http://tsigeto.info>
(東北大学)
日本学術振興会 科学研究費補助金 17K02069 (2020-06-10)

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URI: http://tsigeto.info/20m
Blog entry: https://remcat.hatenadiary.jp/entry/20200605/kakenresult

研究成果の概要

加齢による妊孕性の低下に関する非科学的な知識の生産・流通の実態を調査し、非科学的なグラフやそれを「卵子の老化」と結びつける言説が本格的に出現したのは2011年以降であること、しかしそれ以前から専門家が同様の知識を使っていたこと、そのような知識が「少子化」政策と結びついた歴史的な背景を明らかにした。また、専門家による言説やその政治的な利用について、非専門家がチェックする体制を確立するための方法論について考究した。

研究成果の学術的意義や社会的意義

これまでよくわかっていなかった2010年代の「卵子の老化」キャンペーンの実態とその背景、「少子化」政策との関連について、実証的に明らかにした。また、非科学的知識が政策と結びつく危険性を排除する方法を提唱した点で、社会的意義を有している。

研究分野

社会学

キーワード

科学技術・医療・生命,生殖医学,妊孕力,卵子,疑似科学,知識,マスメディア,科学コミュニケーション

目次

  1. 研究開始当初の背景
  2. 研究の目的
  3. 研究の方法
  4. 研究成果
  5. 付録:主な発表論文等

図1 「卵子の数」グラフのさまざまなバージョン

図2: 女性の妊娠に関する「22歳ピーク」グラフの例

注意

この文書は、日本学術振興会に提出した研究成果報告書の下書きをもとに作成したものです。表現等に関して、正式の研究成果報告書とは差異のある個所があります。

文献

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  29. 鳥取県 福祉保健部 子育て支援総室 (2010) 女と男の幸せガイド: 健やかなパートナーシップをめざして. {http://www.pref.tottori.lg.jp/secure/531020/otokotoonna.doc.pdf}
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