青春のエッセー 阿部次郎記念賞 では、東北大学や仙台市・宮城県にゆかりの作家の方々に、毎年ゲスト選考委員をお願いしています。

 第1回は 内館 牧子さん(脚本家、東北大学大学院文学研究科修士課程修了) 

 第2回は 瀬名 秀明さん(作家、東北大学機械系特任教授(2008年度まで))

 第3回は 佐伯 一麦(かずみ)さん(作家)

 第4回は 俵 万智さん(歌人)

 第5回は 森 まゆみさん(作家)

 第6回は 高橋 克彦さん(作家)

 第7回は 佐藤 賢一さん(作家、東北大学大学院文学研究科修士課程修了)

 第8回は 鷲田 清一さん(哲学者・エッセイスト)

 第9回は 小池 光さん(歌人・エッセイスト)高校生へのメッセージLinkIcon

内館 牧子 さんからのメッセージ(第1回)

 うちだて・まきこ 脚本家
 1948年秋田県秋田市生まれの東京育ち。武蔵野美術大学卒業後、三菱重工業勤務を経て、1988年に脚本家としてデビュー。2000年、(財)日本相撲協会の女性初の横綱審議委員に就任。2003年、東北大学大学院文学研究科修士課程に入学。神事としてみた大相撲をテーマに宗教学を専攻し、2006年に修了。2005年より同大学相撲部監督。近著『養老院より大学院』(講談社、2006年)は東北大学での大学院生活を綴ったもので、『女はなぜ土俵にあがれないのか』(幻冬舎新書、2007年)は修士論文をもとにしている。

~高校時代の思い出~

 某私大をめざしてガリ勉一筋。どうしてもその私大のラグビー部マネージャーになりたかったのが志望理由。落ちました。

~高校生へのメッセージ~ 

 自分の高校時代を思い出すと、理不尽なことばかり。私より成績が悪い子が志望校に合格したり、私より根性の悪い子が告白されたり、いつでも「生きるってことはどーしてこう大変なんだ?!」って。皆さんもそんな日々の喜怒哀楽やそれをどう感じているかを文章で叩きつけてくれればいいの。それはオジサンやオバサンには絶対に書けないビートなんだから。文章が下手でも何の問題もなし。今、あなたが十代を生きているという事実こそが何よりも熱く、面白いんだから。

瀬名 秀明 さんからのメッセージ(第2回)

 せな・ひであき 作家、東北大学機械系特任教授
 1968年静岡県静岡市生まれ。作家。静岡高校・東北大学薬学部卒業・東北大学大学院薬学研究科博士課程修了。薬学博士。大学院在学中に発表した『パラサイト・イヴ』(日本ホラー小説大賞受賞)で人気作家に。そのほかの主な作品に、『BRAIN VALLEY』(日本SF大賞受賞)、『八月の博物館』、『デカルトの密室』、『おとぎの国の科学』などがある。ウエブ「瀬名秀明の博物館」「東北大学機械系・瀬名秀明がゆく!」参照。

~高校時代の思い出~

 美術部に所属して、油絵やペン画を描いていました。文化祭の出し物では舞台設定や美術を担当。クラスの仲間と夜遅くまで準備していたのが思い出です。こつこつと大長編の小説も書いていました。

~高校生へのメッセージ~

 文章を書くのに文系も理系も関係ない。あなたと世界の間には、きらきらと輝くものが無数にあるはず。たくさんの応募を待っています!

佐伯 一麦 さんからのメッセージ(第3回)

 さえき・かずみ 作家
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 1959年宮城県仙台市生まれ。作家。仙台一高を卒業後上京して、週刊佐伯先生.jpg誌記者、電気工などとして働くかたわら小説家を志す。1984年「木を接ぐ」で海燕新人文学賞を受賞してデビュー。1991年『ア・ルース・ボーイ』で三島由紀夫賞、2004年『鉄塔家族』で大佛次郎賞、2007年『ノルゲ』で野間文芸賞などを受賞。2007年にはアスベストの被害を追ったルポルタージュ『石の肺』を刊行した。ペンネームは麦畑を多く描いたゴッホにちなむ。

~高校時代の思い出~

 水泳部に所属して、専ら図書館で本を読んでは、疲れるとプールにつかるという優雅な日々。また文芸部にも所属して、ガリ切りの同人誌も発行した。当時は文芸評論家志望で、主に戦後派に関する評論を執筆した。

~高校生へのメッセージ~

 君が都会にいようと、地方にいようと、何処にいたとしても、書いているものの力で直接世界と取り引きするのが文学であり、哲学である。君がいまいるありふれた場所そのものが、実は世界のまっただなかであり、思考し描くに足る対象物なのだ。