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教育プログラム教育プログラム

独創的発想力は「脱専門」から

日本学国際共同大学院に参加する学生は、「表象」「資本」「共感」の3つの学域(コース)のいずれかに自らの専門分野を位置づけ、それぞれの研究を深めます。同時に、自らの専門分野と有機的、融合的に結びつきながら広がる他の2学域(コース)についても学ぶことによって、新たな「日本学」領域を創造し、現代の課題を視野に入れた独創的な研究能力を養成します。

具体的には、従来型の文献中心の研究手法に加えて、イメージやデータを駆使した方法を取り入れることで、論理的な思考力の幅を広げ、感性的な直観力や豊かな想像力をも備えた知性を育てることが、本プログラムの教育の重要な課題となります。そうした教育を通じて、人文社会科学の原理的視座、つまり人類の幸福と社会の平和的存続を目指すという視座を堅持しつつ、着実かつ柔軟な発想力によって、今日的課題を発見しその解決策を提案できるような能力が育成されます。

このため、本プログラムにおいては、個々の学問領域を守り、その領域を深掘りする伝統的なあり方を尊重しつつも、なによりも分野や地域を横断する横の関係の発見を重視します。もっぱら文字資料に基づいて実証的な因果的説明を行う従来の方法に対し、文字資料と同等もしくはそれ以上にイメージ資料を重視し、実証性だけでなく、想像力や飛躍といった従来では学問の外縁に置かれてきた概念を呼び出すことができるようになり、グローバル社会にふさわしい「人格」の形成がなされます。それを通じて、これまでも東西世界のダイナミックな結びつきによって、それぞれの感性の領域にいたる広範な相互交流があったことが理解され、アジアの文化がグローバル社会の形成に深くかかわっていたことがわかるでしょう。欧米の視点からは死角になっている地平も見えてくるに違いありません。

人材養成の4つの柱

人材養成の目標を実現するため、本プログラムのカリキュラムでは4つの柱をもうけています。
第1の柱は、「メソドロジー科目」です。メソドロジー科目では、本「日本学」の特徴をなす「地域研究としての日本学」と「視点と方法としての日本学」という両面について具体的に講義されます。

第2の柱は6ヶ月以上の海外研修です。従来死角になっていた部分を洞察する力を養うには、それぞれの立ち位置を確認しながら共通の課題にアプローチすることが重要です。海外研修という「武者修行」を通じて学問的アプローチの多様性を体感することで、学生は、みずからの立ち位置を明確に自覚すると同時に、それを展開させ飛躍させるには学問のネットワークを形成していくことが不可欠であることを理解するはずです。ネットワークを通して「創造的集団的思考を行う集まり」(Brainstorming Session)が形成され、そこに属することでみずから問題を発見し、解決の方途を探る自律した研究者へと成長していきます。厳しい競争の中で切磋琢磨することではじめて、世界の幸福に貢献する使命感と責任感を担う人材が養成されるのです。

第3の柱は本プログラムの科目群です。日本学国際共同大学院では、従来の学問分野の教育研究は既存の研究科に委ね、もっぱら新領域の開拓に力を注ぐ。分野を横断し次元の異なる領域間を統合することが新領域の創成には不可欠であり、そのために大学院生は、表象科目(イメージを第1次資料とする美術・芸術史およびその歴史、文化史、人類学、考古学といった分野)、共感科目(言語や文献を第1次資料とする言語学、思想・哲学、歴史学、文学およびその歴史、宗教学といった分野)、資本科目(データを第1次資料とする政治学、経済学、経営学、社会学、行動科学、心理学といった分野)を博士前期課程では基盤科目として、博士後期課程では実践科目として履修します。
 第4の柱はアカデミック英語の習得です。今日のグローバルな状況では、相手の話を聞くということはもとより、発表や議論といったコミュニケーション手段として英語の能力は必須である。このスキルアップに実効力のある科目がネイティヴを中心に行われる「コミュニケーション科目」です。

こうした4本の柱からなる教育プログラムの仕上げとして、ダブル・ディグリーによる博士論文の執筆があります。東北大学での学位取得は日本とアジア諸国において活躍できる能力の証しではあるものの、必ずしも欧米の「通行手形」とはなりません。日本を超えて世界で活躍するには、欧米の社会で通用する「証明書」が必須です。そのためには提携校でダブル・ディグリーを取得することが有効な方法となるはずです。

育成する人材像

現代社会の課題を見出して解決の方途を考究・実践できるリーダー

修了後に想定される進路

世界各国に「日本の視点・方法論」を持った人材を供給することで、日本の地位向上にも貢献

  • 日本とそれに関わる諸地域の学問研究、専門教育を行い、その成果を分かりやすく社会に発信することが求められる分野

    国内外の大学・研究機関
  • 「パブリック・ディプロマシー」(広報や文化交流を通じて、外国人や世論に直接働きかける外交活動)の更なる推進が求められる分野

    国と地方の情報機関・広報組織
  • 日本のものづくり文化を土台に、企業としての信頼性を高めることが求められる分野

    グローバル企業
  • 様々な直接活動の背景に、他者に対する共感と幅広い知識に裏打ちされた状況認識と分析が今後更に求められる分野

    国際機関・NGO

プログラムの流れ

各研究科の博士前期2年の課程に入学後、2年目に選抜された学生が本プログラムに入ります。プログラムに入った後は、博士後期3年の課程修了まで、リサーチアシスタントとしての給与(MCの期間)と研究奨励費(DCの期間)による修学支援を受けることができます。

学生への支援

本プログラムに採用された学生には、リサーチアシスタントとしての給与(MCの期間)と研究奨励費(DCの期間)が経済的支援として支給されます。さらに、本プログラムの大きな特徴である海外の大学への半年間以上の留学の際にも、海外研修経費が支給されます。

リサーチアシスタント経費・研究奨励費
博士課程前期 2年の課程 2年目(M2) 年額150万円程度
博士課程後期 3年の課程 1〜3年目(D1〜D3) 年額240万円程度
海外研修経費
博士課程後期 3年の課程での海外研究費用(旅費) 25万円程度