有備館講座と齋理蔵の講座

2005年3月、仙台藩岩出山伊達家の別荘にして学問所である有備館を会場に「有備館講座」は発足しました。本講座は、大崎市教育委員会の協賛も受けつつ、文学研究科と有志の市民のみなさんの協働で運営される、まさに「研究科と市民のセミナー」となっています。これまでの受講生の延べ人数は3000名を超え、多くの市民の皆さんが文学研究科の講師陣の話に耳を傾けられました。

「齋理蔵の講座」は2008年9月にはじまりました。講座が開催される「齋理屋敷」は伊具郡丸森町にある豪商の館で、県南有数の観光施設です。旧街道に面した門から入り、養蚕や糸取引での繁栄を物語る何棟もの蔵を通過した奥の洋館が主会場です。2024年度も数期にわたる受講経験のある参加者から常に鋭い質問が発せられ講師陣の冷や汗を誘いました。

本年度の二つの講座のテーマは共通で「〈異界〉を覗く」です。以下に、その開催日と講師・演題とを掲げます。

齋理屋敷

齋理屋敷入口

人文社会科学は、我々が自明とするものとは隔たった時空間を取り扱ってきた側面があります。それは現実に存在している場合もあれば、していない場合もあるかもしれませんが、それらの異なる時空間を〈異界〉と呼んだ時、そこから我々の世界認識がいかに偏っているのかに気付かされる場合もあります。それら〈異界〉をどう取り扱うのか、それらとどう向き合うのか、各講師の専門とする研究テーマとひきつけつつお話しします。

東北大学大学院文学研究科と市民のセミナー 第24期有備館講座(2025年度)

場所 大崎市岩出山スコーレハウス
主催 東北大学大学院文学研究科/有備館講座実行委員会
テーマ 「〈異界〉を覗く」
内容
5月17日 小松原織香准教授 「性暴力被害者の内面世界 傷ついた人とのかかわり」
6月21日 今井勉教授 「〈異界〉の迷宮、文学都市パリを歩く」
7月19日 堀裕教授 「古代の人は祖先霊や神仏と交流する」
8月23日 木山幸子准教授 「人を喜ばせる敬語、怒らせる敬語」
9月20日 赤井紀美准教授 「日本古典芸能と〈異界〉」
問い合わせ先 茂木 E-mail

東北大学大学院文学研究科 市民のための公開講座 第18期齋理蔵の講座(2025年度)

場所 伊具郡丸森町 齋理屋敷ほか
主催 東北大学大学院文学研究科
テーマ 「〈異界〉を覗く」
内容
5月10日 仁平政人准教授 「『鏡』の世界を覗く―川端康成と〈異界〉―」
6月7日 松本圭太准教授 「『文明』から見た異界――スキタイの起源 」
7月5日 川口幸大教授 「世界を回る中華料理と日本料理」
8月16日 片岡龍教授 「芥川龍之介『河童』を読み直す」
9月6日 渡邉英幸准教授 「蛮夷と異形の神がみ─〈異界〉からみた秦の建国伝承─」
問い合わせ先 茂木 E-mail

これまでの「有備館講座と齋理蔵の講座」