PRO-pose.

社会を生きる先輩たちの
「プロのポーズ」とは

自分の目で、 現実を捉える 新聞社職員 丹野綾子さん 自分の目で、 現実を捉える 新聞社職員 丹野綾子さん

現場の第一線から、 組織の要へ。現場の第一線から、
組織の要へ。

河北新報社の職員として現在、人事部に籍を置く丹野綾子さん。
「当社の人事計画に則り、主に新卒者を対象とした採用活動全般を担当しています。会社説明会の企画や実施といったことから、実際に使われる入社試験の問題づくりまでを行いますが、まさか将来自分が試験問題をつくる側になるとは、学生時代には想像もしていませんでした」。
実は丹野さんは人事部へ異動したばかり。これまで在籍した報道部で記者として現場の第一線を東奔西走した立場から、今度は本社内にしっかりと腰を据え、組織に不可欠な人材に関わる要の立場へ。新聞社の仕事の中ではまさに対極にあるポジションだ。
「東北大学文学部と大学院文学研究科で学んだこととともに、記者時代に取材活動を通して出会った多くの方々から教えていただいたことや経験を生かし、これからは記者をはじめ社員のためにどう役に立つことができるか。それが現在の大きなテーマです」。

現実をありのままに伝えること。現実をありのままに
伝えること。

河北新報社に入社以来、報道部記者としてキャリアを重ねてきた丹野さん。東日本大震災直後から被災地に足繁く通い、客観的かつ独自の視点で現状と事実を見続けてきた。
「何百年に一度と形容される大災害でしたから、記事の多くは厳しい現状を伝える内容のものがほとんどでした。しかし現場を訪れると、それでも力強く前を向いて進んでいこうとする人々の明るく逞ましい姿も多かったんです。人はいつまでも打ちひしがれているだけではない。厳しさの中にある希望を見た時に、事前に予定調和のストーリーを想定するのではなく、まっさらな状態で“自分の目で現実を捉えること”の大切さをあらためて感じました」。
東日本大震災に遭遇した河北新報社の事態の推移を追ったノンフィクションドキュメンタリーがテレビドラマ化されて話題になった『明日をあきらめない…がれきの中の新聞社〜河北新報のいちばん長い日〜』(テレビ東京)。劇中では女優の小池栄子さんが丹野綾子記者役を務めている。

大学は自由に議論しあえる場。大学は自由に
議論しあえる場。

物心がついた頃から、活字と新聞を手にした感触が好きだったと語る丹野さん。やがて人間の心理や、それに伴う行動に興味を持ち、もっと深く知りたい思いで文学部に進んだという。
「学生時代、ホテルでアルバイトを経験しました。宿泊や会合などさまざまな目的でお客様がいらっしゃる中、ある時、酔客が女性を罵る言葉を聞いて、なぜそのような言葉を使うのか、これまで女性はどのような言葉で表現されてきたのか、性風俗が社会からタブー視されてきた経緯は?など、行動科学で学んだ分析手法で自分なりに掘り下げてみたいと思いました」。
そのユニークな視点の研究は、指導教員の佐藤嘉倫先生からも太鼓判を押され、無事に修士論文として結実。振り返るとそこが新聞記者としての礎になったと丹野さんは振り返る。 「専攻の行動科学はもちろん、学生時代には本当に多くのことを学びました。また大学祭の実行委員として仲間たちとチームワークを発揮しあったこともいい思い出です。その中では“自由に議論しあえる場”を経験できたことが大きかったですね」。
報道から人事へ。新聞社の仕事はチームワークだと断言する丹野さんは、これまでの現場経験や取材先で得たかけがえのない財産を、今度は記者たちをサポートする立場で発揮していく。

丹野 綾子Ayako Tanno

2002年3月、大学院文学研究科行動科学専攻修了後、河北新報社に入社。修士論文は「『売買春』の語られ方の変容-構築主義アプローチを通して-」。