PRO-pose.

社会を生きる先輩たちの
「プロのポーズ」とは

人に役に立つ、を考え続ける。 団体職員 藤橋涼さん 人に役に立つ、を考え続ける。 団体職員 藤橋涼さん

実践で学ぶ、行動科学の本質。実践で学ぶ、
行動科学の本質。

東北大学文学部卒業後、東日本旅客鉄道(JR東日本)に入社。現在はグループ会社に籍を置く藤橋涼さん。
「出向中のJR東日本リテールネットは、売店『KIOSK』やコンビニエンスストア『NewDays』など、駅の構内営業店舗を運営する会社です。担当する新宿エリアには両店合わせて92店舗あり、主に売上や売れ筋商品情報などの統計データを毎週各店舗にフィードバックする業務を行っています。また、デジタルサイネージやCMなどのプロモーションに携わることもあります」。
JR東日本で新入社員には、入社後に鉄道系と事業系に分かれ、それぞれが現場を担当するグループ会社に身を置き、実践でスキルを上げるキャリアステップが採用されている。藤橋さんも他の同期入社組と同様、3年間の予定で出向中だ。
「最初はひとりの販売員としてスタートしましたが、現在は各店舗を回り構内で働く人の意見を聞きながら働きやすいようにサポートする、いわば全体最適化を考える立場となりました。お客様へのサービスも、従業員への対応も、人を相手にすると結果はまったく同じにならないので、行動科学で学んだ基礎の延長線という感じで、毎日の経験がとても大きな勉強になっています」。

文学部なのに数学的という魅力。文学部なのに
数学的という魅力。

高校時代、漠然と“将来は人の役に立ちたい”と考えていた藤橋さん。
「伊坂幸太郎さんの小説の影響で、家庭裁判所の調査官になりたいと思い、現役では東北大学法学部を受験しましたがダメでした。失意のなかで浪人生活が始まったんですが、予備校に通いながらいろいろと考えるうち“人生に必要のないことも大切なのではないか”とポジティブに思うようになりました」。
“考え方が変わった重要な一年”と振り返る時間、最終的に藤橋さんがたどり着いたのが、文学部という解だった。
「もともと心理学系に興味はあったのですが、文学部には専修が25もあり、ここなら幅広く自分の知見を高め、人間としての視野を広げる学びができそうだと決心したんです」。
その後、無事に入学した文学部では、行動科学専修を選んだ。
「統計などの数字をもとに、数学的にアプローチしていく方法が自分のなかではとても腑に落ちました。文学部なのに数学的、そのギャップにも惹かれました」

『駅』を地方貢献のポイントに。『駅』を地方貢献の
ポイントに。

行動科学について学ぶ一方、キャンパスライフでは多くの仲間たちとの出会いや、真剣に取り組んだサークル活動も大切な経験となった。
「学友会オリエンテーリング部に入部し、3年次には80名ほどの部員をまとめる部長も務めました。個人的には一般クラスで全国3位になりましたが、その上のエリートクラスにエントリーする人たちの行動や心構えから“上を狙う人の思考”にふれられたこともいい勉強でした」。
常に客観的な視点で自分自身を見つめてきた印象を与えてくれる藤橋さん。そこには、ブレずに貫かれてきた思いが窺える。
「人の役に立つ、世の中に貢献する、ということを突き詰めると、まず自分自身の知見を広げ、能力を高めることが重要だと思ったんです。文学部はそれにふさわしい場所でした。大学進学の際、やりたいことがまだ見極められないのであれば、目先のことだけでなく、将来にわたり自分の人生の可能性を広げてくれる文学部を勧めたいですね」。
全国どこにでもある『駅』という集客装置を使って、地方が元気になるような貢献をしていきたいと語る藤橋さん。彼ならどうアプローチするのか、これからの展開が楽しみだ。

藤橋 涼Ryo Fujihashi

2016年3月、文学部人文社会学科行動科学専修卒業後、東日本旅客鉄道に入社。現在、JR東日本リテールネットに出向中。卒業論文は「公園内の禁止事項の増加原因についての分析-仙台市内の公園を例に-」。