教員のよこがお

准教授 大貫 隆史 ONUKI Takashi

所属

  • 大学院文学研究科・文学部
  • 広域文化学専攻
  • 西洋文化学講座
  • 英文学分野

研究の醍醐味

考えることが好きでこの仕事を目指したはずなのですが、考えること自体に、からだ全体でぐったりしてしまうことが割とあります。そういうとき、外に出て、目に付く木の名前を調べてみたり、歴史的にどのように人間と関わってきた木なのか、素人的に調べてみたりします(最近だと川内キャンパスの巨木「メタセコイア」)。同じように、英文学作品のなかに出てくる草木についても調べてみることが多くなったのですが、これが思いのほか面白いのです。例えば、荒れ地に黄色い花を鈴なりに咲かせる「ハリエニシダ(gorse)」。繁殖力の強い植物らしく、厄介な「雑草」のような扱いを受けることもあるようなのですが、石炭がひろく流通する前は暖炉の燃料として使われたり、馬の飼料として重宝されたりしたことがあったようです。こんなことを調べてみると、同じイギリスの風景でも、また違って見えてくることになります。人が踏み入ることのない荒野に見えていた景色の背後に、人間の姿が垣間見えてくるわけです。「ハリエニシダ」を燃料や飼料にするために刈り取る人びと、それを飼料として加工する人びと、さらには、そうした加工をするための道具を作る人びと、果ては時代が変わり「ハリエニシダ」が雑草のように扱われるようになる、ある意味で残酷な変化を見つめる人びとの姿が、おぼろげに見えてくるような気がするのです。そしてそれは、考えすぎて自家中毒気味になっていた自分の殻が割れてくる瞬間、つまり、新しい感じ方、考え方に接触する瞬間でもあります。それが、自分の研究の一番の醍醐味かなと思っています。

  • 研究・略歴
  • 著書・論文等
  • 主要担当科目
    英語文化論特論(大学院)
    英文学基礎講読、英文学演習
    略歴
    東京大学文学部卒、同大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学。釧路公立大学経済学部准教授、関西学院大学商学部教授を経て現職。スウォンジー大学客員研究員(平成27年9月〜平成28年8月)。博士(文学)大阪大学。
    学位
    博士(文学)
    研究分野
    20世紀イギリス文化・文学、演劇理論
    研究課題
    20世紀イギリス文化・文学、レイモンド・ウィリアムズ
    研究キーワード
    モダニズム、場所にまつわる紐帯、レイモンド・ウィリアムズ
    所属学会
    日本英文学会、日本ヴァージニア・ウルフ協会
  • 主要著書
    『「わたしのソーシャリズム」へ―二〇世紀イギリス文化とレイモンド・ウィリアムズ』(研究社、2016年)
    『文化と社会を読む 批評キーワード辞典』(河野真太郎、川端康雄との共編著、研究社、2013年)
    『愛と戦いのイギリス文化史1951-2010年』(川端康雄、河野真太郎、佐藤元状、秦邦生との共編著、慶應義塾大学出版会、2011年)
    主要論文
    「リアリズム〈運動〉、その擁護と拒絶―リアリズムの書き手(ライター)としてのカズオ・イシグロとレイモンド・ウィリアムズ」(『商学論究』第64巻第6号、関西学院大学商学研究会、165-181頁)2017年3月

    「英語圏ナショナリズム論のなかのウェールズ―1983年のネイション、そして〈個人〉」(『商学論究』第63巻第4号、関西学院大学商学研究会、187-205頁)2016年3月

    「レイモンド・ウィリアムズ―ストライキ、共同体、そして文化」(河野真太郎との共著)(『POSSE』第20号、NPO法人POSSE、218-231頁)2013年9月

    「ふたつの二重視―ポピュラー・ポリティクスとブレヒト再発見」(『商学論究』第60巻第1・2号合併号、関西学院大学商学研究会、667-688頁)2012年12月

    「社会の消失とモダニゼィション」(『レイモンド・ウィリアムズ研究』第3号、レイモンド・ウィリアムズ研究会、97-114頁)2012年3月
    受賞
    平成20年11月 日本英文学会新人賞