教員のよこがお

教授 齋藤 智寛 SAITO Tomohiro

所属

冷暖 自ら知る

禅思想史を中心に、中国の隋唐五代期、西暦ではおよそ7世紀から10世紀までの思想を研究しています。
ところでわたしは、空模様を見て一枚餘計に着るとか傘を持って行くとかが苦手です。子供のころには「寒いからジャンパーを着て行きなさい、クラスのみんなはどうしてるの? 恥ずかしい!」と親に言われるたびに癇癪を起こして、「おれが寒いとなぜお母さんがわかるの? 学校に『みんな』なんて名前の人間はいないし、恥ずかしいのはお母さんであっておれではない」と口応えしては親を呆れさせていました。
しかし今思うとこのやり取りはきわめて禅的なのです。禅とは教理学が文字で説いたことを悟りの体験によっておのれの身に実現するいとなみです。冷暖は自ら知る、もし仏法とは何ですかと問えば、なぜ自己とは何かを問わぬ? と一喝されるでしょう。おれが暑いか寒いかはおれが決めるという訴えを幼稚な屁理屈と嗤う人は、禅の道場にはひとりもいないのです。

  • 研究・略歴
  • 著書・論文等
  • 主要担当科目
    中国思想概論、中国思想基礎講読、中国思想各論、中国思想演習、中国思想中国哲学特論、中国思想中国哲学研究演習
    略歴
    東北大学文学部中国哲学専攻卒業後、同大学文学研究科博士後期3年の課程修了、東北大学文学研究科助手、京都大学人文科学研究所助手、同助教を経て現職。
    学位
    博士(文学)
    研究分野
    中国中世思想史 (2005-)
    研究課題
    中国中世思想史。中国宗教思想史。
    研究キーワード
    中国仏教思想史
    所属学会等
    中国文史哲研究会、東北中国学会、日本中国学会、東方学会、東アジア仏教研究会、禅学研究会、白山中国学会
    研究者紹介DB
    http://db.tohoku.ac.jp/whois/detail/d2a732f3f4e2a48be1242917fd1d0ed2.html
  • 主要著書
    齋藤智寛・大野晃嗣・陳青・渡辺健哉編『東北大学附属図書館所蔵「中国金石文拓本集」附:関連資料』(私家版、今野印刷、2013年)
    主要論文
    1、所謂“見仏性”―唐代禅宗的実践(方立天、末木文美士主編『東亜仏教研究Ⅳ―仏教制度与実践』宗教文化出版社、195-219頁)         2014年
    2、広州光孝寺六祖慧能碑と『六祖壇経』――空間化されるテクスト(『空間史学叢書2 装飾の地層』岩田書院、147-174頁)2015年3月
    3、『東北大学附属図書館所蔵中国金石文拓本集:附関連資料』の刊行によせて(『東アジア石刻研究』6、1-16頁)2015年8月 ※大野晃嗣、渡辺健哉氏との共著
    4、『歴代法宝記』考―山居修道と居士仏教―(『集刊東洋学』第115号、45-64頁)                            2016年6月
    5『大辯邪正経』と『六祖壇経』(『古典解釈の東アジア的展開』京都大学人文科学研究所、137-164頁)2017年3月
    報道
    1、大渡網「齋藤智寛:《邪正経》作者並非玄奘門人」(2011年9月29日)http://www.dadunet.com/106-111-view-111-201109-47788-1.html
    2、巻頭座談会「『「地域」再考―復興の可能性を求めて―』で考えたこと」『東北大学ブックレット 考えるということ』9、2014年7月、2-9頁
     ※嶋崎啓(司会)、川口幸大、鹿又喜隆、戸島喜代志各氏との座談
    3、2016年4月20日NHK World Great Gear出演
    http://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/tv/greatgear/index.html
     ※リボテック社村林孝夫氏を特集する番組に、大野晃嗣、渡辺健哉各氏と出演。