教員のよこがお

准教授 張 佩茹 CHANG Peiju

所属

語学の授業での気づき

中国語の授業で「~以外のもの、ぜんぶ好き」という表現を練習するために、ある男子学生に質問をしました。
「きらいな食べ物を教えてください」
「きのこです」
「マッシュルームのことでしょうか」
「いいえ、きのこ全般です」
そこではっとさせられました。きのこという言葉を聞いて、私の頭に真っ先に浮かんできたものがマッシュルームでしたが、実際はずっと範囲が広く、総称として使われる言葉でした。言葉の意味を狭く理解してしまい、いわゆる過剰縮小の問題に気付かされた瞬間でした。また別の日に、初級クラスの学生が以下の文を作りました。
“我不喝红茶,喝茶。”(意味:私は紅茶ではなく、お茶を飲みます。)
「矛盾していないかな。紅茶はお茶の種類ですので、紅茶は飲まないけど、緑茶なら飲むという内容ならいいです」とコメントを付けました。日本語だったらそのような言い間違いはしないはずですが、外国語になるとうっかりしてしまう。現代中国語学を専門としている私にとって、中国語の授業は実に色々考えさせられる、楽しい時間です。

  • 研究・略歴
  • 著書・論文等
  • 主要担当科目
    展開中国語、専門中国語、中国語基礎演習、中国文学演習
    略歴
    台湾・台中生まれ。台湾・国立台湾大学文学部卒、国立台湾師範大学大学院中国語教育研究科修士課程修了、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学。東京大学教養学部特任准教授、二松学舎大学文学部准教授を経て2020年より現職。
    学位
    博士(文学)
    研究分野
    現代中国語学
    研究課題
    動詞の文法化(特に視覚動詞)
    研究キーワード
    文法化、動詞性、機能語
    所属学会等
    日本中国語学会、東北中国学会

  • 主要著書
    『快楽学漢語・説漢語―初中級中国語会話』(共著、株式会社早稲田総研インターナショナル2013年)、『改訂新版 中国学入門―中国古典を学ぶための13章』(共著、勉誠出版2017年)
    主要論文
    「“只见”の接続機能」(『中国語学』253、2006年)、「《見究めの“看”》と《試みの“看”》」(『中国語学』255、2008年)、「<試み>表現“VP试试”について」(『木村英樹教授還暦記念中国語文法論叢』2013年)、「現代漢語嘗試範疇的標記與形式」(大学院紀要『二松』33、2019年)
    受賞
    2009年10月 日本中国語学会奨励賞
    報道
    朝日教育会議「国語力こそ グローバル社会の鍵」朝日新聞2018年11月3日版、第32面。