教員のよこがお

准教授 越智 郁乃 OCHI Ikuno

所属

モノと人が織りなす世界
~墓からアートへ~

小学生の頃の夢は、考古学者になって古墳を発掘することでした。大学1年生のときに文化人類学に出会い、20歳で初めて単独調査に出かけたのは、瀬戸内海にある小島で二晩かけて行われる盆踊りです。大学院に入ってからは現代沖縄の墓の引っ越しと祭祀の変容をテーマに研究していますが、考えてみればずっと墓や祭祀を追い続けていますね。
墓や位牌や仏像のように石や木や金属にすぎないモノに対して人はなぜ恐れ敬い、それらに動かされるような感覚を抱くのでしょうか。墓を造り、使い、整備したり動かしたりする人々の実践を仔細に見ていくと、墓は人と交渉しながら絶えず動き続ける生きもののように見えます。
博士論文を書き上げた頃に出会ったのが、瀬戸内海の小島で行われる芸術祭でした。現代芸術祭やアートによる地域振興は、国内外の様々な場所で住民とツーリストを巻き込みながら展開されています。動くモノや動く人々を介しながら変化する現代社会について、人類学の視点から学生の皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

  • 研究・略歴
  • 著書・論文等
  • 主要担当科目
    文化人類学基礎演習、文化人類学演習、文化人類学研究演習Ⅰ、など
    略歴
    広島大学大学院社会科学研究科博士課程修了。広島大学大学院総合科学研究科特別研究員、京都大学文学研究科 GCOE「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点」研究員、福井大学産学官連携本部機関研究員、兵庫県立大学地域創造機構特任助教、立教大学観光学部助教を経て、2020年より現職。
    学位
    博士(学術)
    研究分野
    文化人類学、民俗学
    研究課題
    観光・移住などに伴う人・モノの移動と文化変容
    研究キーワード
    葬墓制、祖先祭祀、接触領域(コンタクトゾーン)、ツーリズム、アート、地域振興
    所属学会等
    日本文化人類学会、日本民俗学会、日本社会学会
    ウェブサイト
    http://www2.sal.tohoku.ac.jp/anthropology/Ochi.html
  • 主要著書
    単著
    『動く墓-沖縄の都市移住者と祖先祭祀』(森話社、2018年)

    共著
    『フィールドから読み解く観光文化学 : 「体験」を「研究」にする16章 』(西川 克之・岡本 亮輔・奈良 雅史編、ミネルヴァ書房、2019年)
    『大学的東京ガイド:こだわりの歩き方』(立教大学観光学部編、昭和堂、2019年)
    『境域の人類学 八重山・対馬にみる「越境」』(上水流久彦・村上和弘・西村一之編、風響社、2017年)
    『〈境界〉を越える沖縄:人・文化・民俗』(小熊誠編、森話社、2016年)
    『生をつなぐ家』(小池誠・信田敏宏編、風響社、2013年)
    主要論文
    2020年「都市計画と観光まちづくりの横断に向けて : フランス・ナント市のアートプロジェクトを事例に」『立教大学観光学部紀要』第22号
    2019年「民俗資料としてのアート-沖縄市コザ十字路絵巻とガイドツアーを例に-」『立教大学観光学部紀要』第21号
    2018年「墓の移動にみる現代沖縄の墓制と祖先祭祀の継承」『比較家族史研究』第32号
    2015年「ゲート前という接触領域-沖縄県那覇市新都心における軍用地の記憶と返還地の開発-」『コンタクト・ゾーン=Contact zone』第7号
    2014年「芸術作品を通じた人のつながりの構築と地域活性化の可能性―新潟市における芸術祭と住民活動を事例に―」『アジア社会文化研究』第15号
    報道
    『動く墓-沖縄の都市移住者と祖先祭祀』(森話社、2018年)書評 
    毎日新聞『今週の本棚』(2018年4月1日 )
    週刊読書人ウェブ(2018年6月23日)