教員のよこがお

准教授 内藤 真帆 NAITO Maho

所属

  • 大学院文学研究科・文学部
  • 総合人間学専攻
  • 心理言語人間学講座
  • 言語学分野

記述言語学の使命

 消滅の危機に瀕した少数言語の記述・解明をめざしています。世界にはおよそ7000余りもの言語が存在しますが近年、猛スピードで地球上からその姿を消しています。人類共有のかけがえのない知的財産であり叡智の結晶である固有の言語を、せめてもの記録としてこの世にとどめたいという思いから、学部四年より取り組んでいます。調査地は南太平洋に位置する、大小83の島々からなるヴァヌアツ共和国です。文字を持たず辺境の地に息づく固有の言語には、わたしたちの想像をはるかに超えるさまざまな言語現象や謎が潜んでいます。
 調査では、現地の人々と寝食を共にしながら彼らの言語のみならず、ことばに反映された文化・風習・独自の世界観をも汲み取るように努めています。電気・水道・ガスのない孤島での生活は、物質文化にどっぷり浸かっている身に多くのことを学ばせてくれます。これらの体験を研究・教育に活かすべく、日々奮闘しています。

  • 研究・略歴
  • 著書・論文等
  • 主要担当科目
    音声学、現代言語学各論、言語交流学演習、言語学研究演習
    略歴
    東京女子大学現代文化学部言語文化学科卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了、京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。
    日本学術振興会特別研究員PD(京都大学)、東京女子大学嘱託講師、愛媛県立医療技術大学講師を経て現職。
    学位
    博士(人間・環境学)
    研究分野
    記述言語学
    フィールド言語学
    研究課題
    未調査・無文字の消滅危機言語の研究
    研究キーワード
    消滅危機言語、未調査・無文字言語、ピジン・クレオール、ヴァヌアツ、メラネシア
    所属学会等
    日本言語学会、日本音声学会
  • 主要著書
    『ツツバ語 記述言語学的研究』、京都大学学術出版会、526頁、2011年
    主要論文
    内藤真帆、ツツバ語の数詞と儀礼、『愛媛県立医療技術大学紀要』、第14巻、pp.1-6、2017年
    内藤真帆、ツツバ語の色彩用語と語彙借用―ビスラマ語との比較を通して―、『愛媛県立医療技術大学紀要』、第13巻1号、pp.1-7、2016年
    内藤真帆、ビスラマ語とツツバ語における意味の場と語彙借用―時に関する体系の比較と考察―、『東京女子大学紀要論集』、第66巻 第1号、pp.157-176、2015年
    内藤真帆、ツツバ語の移動動詞と空間分割、『言語研究』、第136号、pp.153-176、2009年
    Maho Naito, Tutuba Apicolabials: Factors Influencing the Phonetic Transition from Apicolabials to Labials, Oceanic Linguistics, Vol.45 No.1, pp. 217-228, 2006年
    受賞
    2012年11月 新村出記念財団 第三十回 研究奨励賞(著書名『ツツバ語 記述言語学的研究』)
    2011年11月 日本言語学会 論文賞 (論文名「ツツバ語の移動動詞と空間分割」)