教員のよこがお

准教授 問芝 志保 TOISHIBA Shiho

所属

  • 大学院文学研究科・文学部
  • 広域文化学専攻
  • 域際文化学講座
  • 宗教学分野

宗教をどう見るか?

 宗教から少し距離をとって客観的に見るならば、社会において宗教は一種の“情報”だといえます。近現代の日本社会で、宗教は、教団にも宗教者にも独占されず、家族や親族、地域社会のなかに閉じこめられてもいません。多くの人々によってさまざまに論じられ、表現され、メディア等をとおして広がっていきます。たとえば日本のテレビドラマには墓参りのシーンが頻出しますが、このことは日本の宗教文化にどう影響しているのか。社会のなかで変わっていく宗教のありようには非常に興味をそそられます。
一方で、少し宗教に近づき、宗教者や信仰者の真摯なことばに耳を傾け、その実践を目の当たりにしてみると、こちらの人生観が変わるほどの衝撃を受けることがあります。ハリウッドで映画化された遠藤周作の『沈黙』を観ては、死に至るむごい拷問を受けてまでも信仰を貫く生の意味を考えずにはいられません。同じ地球上に立っていても、宗教によって、見ている世界が全く異なるという事実に気づかされます。
知れば知るほど面白く、難しく、奥深い宗教の問題に、向き合い続けたいと思っています。

  • 研究・略歴
  • 著書・論文等
  • 主要担当科目
    宗教学特論、宗教学概論、宗教学各論
    略歴
    1984年、北海道札幌市生まれ。筑波大学第二学群比較文化学類卒業後、5年間ほど一般企業に就業。大正大学大学院文学研究科宗教学専攻修士課程、筑波大学大学院人文社会科学研究科哲学・思想専攻一貫制博士課程修了。日本学術振興会特別研究員DC・PD、公益財団法人国際宗教研究所研究員、國學院大學日本文化研究所PD研究員、大学非常勤講師等を経て、2022年4月より現職。
    学位
    博士(文学)
    研究分野
    宗教学、宗教社会学、日本近代宗教史
    研究課題
    近現代日本の先祖祭祀と葬送墓制
    所属学会等
    日本宗教学会、「宗教と社会」学会、日本民俗学会、哲学・思想学会
  • 主要著書
    『先祖祭祀と墓制の近代―創られた国民的習俗』春風社、2020年
    主要論文
    「寺院と墓地の現在―「墓じまい時代」の課題」相澤秀生・川又俊則編著2019『岐路に立つ仏教寺院―曹洞宗宗勢総合調査2015年を中心に』法蔵館、2019年
    「二〇一〇年代のスピリチュアル市場における先祖供養と墓参り」山中弘編『現代宗教とスピリチュアル・マーケット』弘文堂、2020年
    「メディア報道にみる無縁墓の戦後史―何が問題とされたのか」東洋英和女学院大学死生学研究所編『死生学年報2022』リトン、2022年
    報道
    問芝志保「御先祖様と日本人―近現代史から見た墓と弔い(特集:宗教の居場所、死生観のゆくえ)」『中央公論』2022年2月号