教員のよこがお

助教 濱住 真有 HAMASUMI Mayu

所属

私と中国、そして東北大学

江戸時代中期に京都で活躍した池大雅という画家を研究対象とし、中国山水画の受容と中国憧憬を中心に研究してきました。私と中国との出会いは大学2年時、中国北京の大学での短期語学研修に遡ります。

留学も後半にさしかかった頃の週末、全員で天壇公園を見学して現地解散。昼食時から気分が悪くなり、前門付近で動けなくなりました。ルームメートが付き添ってくれて、寮に戻ろうとしましたが、バスに乗ってもすぐに下車。郊外にある寮に戻るのを断念して、市街地にある知り合いの中国人ご夫婦宅へその晩遅くに辿り着き、泊めてもらいました。数日間は高熱があり、何も食べられず、ベッドの上でどんよりした空を眺めながら、もう日本に戻ることはないだろうと涙を流していました。食欲が戻らないままさらに数日が経ち、3月8日(国際女性デー)を迎えました。昼食時にご主人からプレゼントされたデニッシュブレッドはほのかに甘く、一口また一口とすすみました。ご夫婦の献身的な看病のお蔭で回復、授業にも復帰、楽しみにしていた研修旅行にも参加できた私は、雲崗石窟(大同)、龍門石窟(洛陽)、兵馬俑(西安)などのあまりにも壮大で、圧倒的な文化の「すごさ」を目の当たりにしました。今思い返すと、命を救われ、中国文化に魅了されたこの留学時の体験がその後の大学院進学や研究テーマを決めるきっかけになっているように思います。
前述の留学時、寝ずに我々の帰りを待っていた引率の教授とは、数年前に先生が逝去される少し前まで親交が続きました。中国文学者であった先生は、魯迅を慕い、私が仙台に転居する時も、仙台には魯迅が学んだ東北大学があるからと言って喜んでくださいました。今でも先生の温かな笑顔とともに、あの中国留学を思い出します。

  • 研究・略歴
  • 著書・論文等
  • 略歴
    実践女子大学文学部国文学科卒業。実践女子大学大学院文学研究科美術史学専攻修士課程修了。大阪大学大学院文学研究科文化表現論専攻(日本東洋美術史)博士後期課程修了。
    実践女子大学 文学部 美学美術史学科・博物館学課程助手、大阪大学大学院文学研究科日本東洋美術史助教、大阪大学大学院文学研究科招聘研究員、NHK文化センター仙台教室講師等を経て、2023年4月から現職。
    学位
    博士(文学)
    研究分野
    江戸時代の美術史
    研究課題
    池大雅を中心とした日本の文人画
    研究キーワード
    池大雅、文人画、南画、中国山水画
    所属学会等
    美術史学会
  • 主要論文
    濱住真有「池大雅研究―山形県内の作品を中心に―」『鹿島美術研究 年報第38号別冊』、鹿島美術財団、2022年、304-314頁
    濱住真有「池大雅筆『陸奥奇勝図巻』再考」『大和文華』第136号、大和文華館、2019年、19-34頁
    濱住真有「池大雅筆『柳下童子図屛風』―その魅力と解釈の可能性―」『畫下遊樂(二)奥平俊六先生退職記念論文集』藝華書院、2018年、335-357頁
    濱住真有「江戸時代における中国絵画受容の問題―池大雅の款記に見られる『写意』をめぐって―」『待兼山論叢』第44号美学篇、大阪大学大学院文学研究科、2010年、1-26頁
    濱住真有「中国山水画受容の一様相―池大雅筆『白雲紅樹図』をめぐって―」『美術史』第156冊、美術史学会、2004年、394-412頁
    受賞
    2005年 第3回美術史学会『美術史』論文賞