教員のよこがお

助教 渡辺 亮 WATANABE Ryo

所属

「それ」という真実

インドで「真実」をあらわす語にタットヴァ(tattva)という語があります。字義どおりには<それであること>を意味し,ものごとの本質というニュアンスをもちます。いにしえよりインド宗教各派ではその語に多様な解釈を付してきました。仏教では対象の<あるがままの本来の姿>という意味が通ずるようです。
 現代社会は「ストレス社会」ともいわれますが,現代に生きる我々は,意識する/しないにかかわらず,さまざまなストレス状況下に置かれています。研究は「おもつらい」ということばがピッタリくると思います。楽しいことばかりではなく,時にはストレスにさらされ,抑制を強いられることもしばしばあります。本質を忘れてしまいそうになる時,それは真実から遠ざかっているのかもしれません。日々の葛藤,果てしなく続く道の途中,迷いながらも自身の「それ」を大切にしたいものです。

  • 研究・略歴
  • 著書・論文等
  • 主要担当科目
    サンスクリット語
    略歴
    徳島市出身。東北大学大学院文学研究科博士課程前期・後期修了。日本学術振興会特別研究員(DC2),東北大学大学院文学研究科学術研究員・専門研究員を経て現職。
    学位
    博士(文学)
    研究分野
    インド・チベット密教学
    研究課題
    インド・チベット密教流派儀礼、インド密教史
    研究キーワード
    インド・チベット密教、儀礼、流派、サンヴァラ、クリシュナ
  • 主要論文
    dpal Rim pa bshi paḥi gshuṅ gi ḥgrel chen gSaṅ ba rab gsal shes bya ba所引*Olacatuṣṭayaチベット語訳テクスト」,『密教学』第59号,2023年3月
    「Integration of Prajñā and Upāya in *Guhyatattvaprakāśa Ⅲ:
    Focusing on the parallelism in Saṃpuṭodbhavatantra Ⅱ–ⅱ」,『印度学仏教学研究』第71巻第3号,2023年3月
    「Kṛṣṇācāryaの聖典解釈—*Guhyatattvaprakāśaにおける*Yoga-/*Yoginī-tantraの会通—」,『論集』第47号,2020年12月
    「Kṛṣṇācārya著*Guhyatattvaprakāśaの原典研究」,『印度学仏教学研究』第68巻第2号,2020年3月
    Vasantatilakāにおける身体観」,『論集』第45号,2018年12月