教員のよこがお

特任助教(研究) 井川 裕覚 IKAWA Yugaku

所属

  • 大学院文学研究科・文学部
  • 広域文化学専攻
  • 域際文化学講座
  • 宗教学分野

寺院の「外」に目を向ける

 元々は、お寺の住職として活動してきました。近年その地域では、現役世代の多くが都市部に移り、急速に高齢化が進んでいます。人口減少が進み、地域社会が維持できなくなると、お寺は消滅してしまうのでしょうか。そんな危機感を抱いていた折、東日本大震災が起こりました。被害の大きさに無力さを痛感しましたが、それでも復興支援に関わろうとする宗教関係者がいることを知りました。この経験から、私は寺院の「外」に目を向けるようになり、医療現場でのケアや高齢者の孤立予防などの社会活動に関わってきました。
 私の専門は実践宗教学、宗教社会学です。とくに近代社会で多様な価値観が併存し公共空間が形成される過程で、宗教がいかなる機能を担ってきたのかという視点から、社会福祉の歴史研究を行ってきました。今後は、宗教の地域コミュニティをつなぐ機能や、災害復興における宗教文化の役割などを考えていきたいと思います。

  • 研究・略歴
  • 著書・論文等
  • 主要担当科目
    実践宗教学各論、実践宗教学特論、応用死生学研究実習
    略歴
    大阪市立大学経済学部経済学科を卒業後、高野山専修学院での修業課程を終え、仏教寺院の運営に従事。上智大学大学院実践宗教学研究科(死生学専攻)博士後期課程修了。同大学院特別研究員を経て、2024年4月より現職(災害科学コアリサーチクラスター災害人文学領域、兼任)。
    学位
    博士(文学)
    研究分野
    宗教社会学、日本近代宗教史、社会福祉史、死生学
    研究課題
    宗教の公共性、宗教と福祉、宗教と災害、臨床スピリチュアルケア
    研究キーワード
    公共宗教論、仏教福祉、スピリチュアルケア、グリーフケア
    所属学会等
    日本宗教学会、「宗教と社会」学会、日本社会福祉学会、社会事業史学会、日本スピリチュアルケア学会
  • 主要著書
    『近代日本の仏教と福祉――公共性と社会倫理の視点から』法藏館、2023年
    『社会事業史学会創立50周年記念論文集 戦後社会福祉の歴史研究と方法――継承・展開・創造』第1巻〈思想・海外〉(共著)、社会事業史学会創立50周年記念論文集刊行委員会編、近現代資料刊行会、2022年
    「声と音の空海像――近代高野山の金剛流ご詠歌とトーキー」森覚・大澤絢子編『読んで観て聴く 近代日本の仏教文化』法藏館、2024年
    「仏教と女子教育」大谷栄一・吉永進一・近藤俊太郎編『増補改訂近代仏教スタディーズ――仏教からみたもうひとつの近代』法藏館、2023年
    「大正期の仏教社会福祉事業と新教育運動――長谷川良信のマハヤナ学園による女子教育への展開」『近代仏教 』29 、2022年5月
    「明治後期の福祉領域における宗教の公共的機能――巣鴨監獄教誨師事件とその後の展開」『宗教と社会貢献』12(1) 、2022年4月
    「スピリチュアルケアにおける〈ケア資源〉の活用――「無力の自覚」を手がかりとして」『グリーフケア』9、2021年3月、谷山洋三との共著
    「スピリチュアルケアにおける宗教性の役割――臨床宗教師による「宗教的資源の活用」の検討」『スピリチュアルケア研究』4、2020年10月
    主要論文
    「声と音の空海像――近代高野山の金剛流ご詠歌とトーキー」森覚・大澤絢子編『読んで観て聴く 近代日本の仏教文化』法藏館、2024年
    「仏教と女子教育」大谷栄一・吉永進一・近藤俊太郎編『増補改訂近代仏教スタディーズ――仏教からみたもうひとつの近代』法藏館、2023年
    「大正期の仏教社会福祉事業と新教育運動――長谷川良信のマハヤナ学園による女子教育への展開」『近代仏教 』29 、2022年5月
    「明治後期の福祉領域における宗教の公共的機能――巣鴨監獄教誨師事件とその後の展開」『宗教と社会貢献』12(1) 、2022年4月
    「スピリチュアルケアにおける〈ケア資源〉の活用――「無力の自覚」を手がかりとして」『グリーフケア』9、2021年3月、谷山洋三との共著
    「スピリチュアルケアにおける宗教性の役割――臨床宗教師による「宗教的資源の活用」の検討」『スピリチュアルケア研究』4、2020年10月
    受賞
    SOMPO福祉財団奨励賞、『近代日本の仏教と福祉――公共性と社会倫理の視点から』、公益社団法SOMPO福祉財団、2024年3月
    第16回社会倫理研究奨励賞審査員賞、「明治後期の福祉領域における宗教の公共的機能――巣鴨監獄教誨師事件とその後の展開」、南山大学社会倫理研究所、2022年12月
    吉田久一研究奨励賞(刊行費助成部門)、『近代日本の仏教と福祉――公共性と社会倫理の視点から』、社会事業史学会、2022年5月
    報道
    「終末期患者や被災者に伴走 臨床宗教師3・11に静かな広がり」『東京新聞』2024年3月
    中外図書室「著者登場 近代日本の仏教と福祉」『中外日報』2023年3月
    「時代を担う」『中外日報』2020年9月
    「生死の現場で 患者の声聴く」『朝日新聞(奈良版)』2020年8月