教員のよこがお

准教授 小松原 織香 KOMATSUBARA Orika

所属

  • 大学院文学研究科・文学部
  • 総合人間学専攻
  • 哲学倫理学講座
  • 倫理学分野

夢と現実の間で

 空想ばかりしている子どもでした。子ども同士で遊ぶのが苦手で、虚構の世界にのめりこみ、小説やマンガが自分の心の支えでした。同時にルポルタージュが好きで、戦争や公害で苦しむ人々について書いたものをむさぼるように読みました。大人になった今も、あまり変わっていません。
 私が研究している環境破壊や性暴力、DVなどの暴力の現場では、被害者が苦しんでいる現実に直面します。状況を変えようとしてもなかなか変わらない、救いのない世界です。でも、深くかかわっていくと、被害者が大事に抱えてきた宝物のような記憶や、深く優しい想いに触れることにもなります。
 倫理学を研究するのに必要なのは、過酷な現実のなかでも、 笑って夢を語れるような図太さだと、私は思っています。冷笑や皮肉、虚無感に負けず、根性を入れて、「この世界は正しくあるべきだ」と考え続けています。

  • 研究・略歴
  • 著書・論文等
  • 主要担当科目
    倫理学概論、倫理学各論
    略歴
    1982年生まれ。2016年大阪府立大学大学院人間社会学研究科人間科学専攻博士号取得。
    学位
    博士
    研究分野
    環境、ジェンダー
    研究課題
    修復的正義、コミュニティ再生、被害者支援、アートと社会運動
    研究キーワード
    水俣、性暴力、DV
    所属学会等
    日本被害者学会; European Forum for Restorative Justice; European Society of Criminology
  • 主要著書
    近著は『当事者は嘘をつく』, 筑摩書房, 2022.
    受賞
    『性暴力と修復的司法: 対話の先にあるもの』(成文堂 2017年)で西尾学術奨励賞(ジェンダー法学会)受賞。
    『〈被害者の情念〉から〈被害者の表現〉へ―水俣病「一株運動」( 1970年)における被害者・加害者対話を検討する』『現代生命哲学研究』(2019年)で社会倫理研究奨励賞(南山大学社会倫理研究所)受賞。