教員のよこがお

教授 嶋﨑 啓 SHIMAZAKI Satoru

所属

「灰かぶり」の王子は
ちょっと……あれなのか

グリム童話の「灰かぶり」はドイツ版の「シンデレラ」ですが、話はちょっとちがいます。王子は、「灰かぶり」のお姉さんが靴をはいたのを見て、この人こそ舞踏会で踊った人だと思い、城に連れて帰ろうとします。しばらくして王子は自分の間違いに気づきますが、それは靴に合うようにつま先を斧で切った足が血まみれになっていたからです。そのあと王子は、かかとを切ったもう一人のお姉さんを同じように城に連れていこうとし、やはり足が血まみれであることによって間違いに気づきます。顔を見分けられなかっただけではなく、同じ間違いを繰り返したわけです。王子はちょっと……頭が弱いのでしょうか。
しかし、ここで自分の過去を振り返ると、何度も同じ間違いを繰り返してきたことに気づきます。失敗した時には、もう二度と同じ間違いはすまいと思いますが、反省むなしくまたやってしまう。王子は、そんな何度失敗しても懲りない人間の姿を極端化して表しているとしたら、どうでしょうか。王子のふるまいは笑うべきものですが、同時に、愚かしいがゆえに恐ろしい人間の本質を表しているのかもしれません。

  • 研究・略歴
  • 著書・論文等
  • 主要担当科目
    ドイツ語学概論、ドイツ文化学研究演習等
    略歴
    九州大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。2005年東北大学文学研究科助教授、2013年より現職。
    学位
    博士(文学)
    研究分野
    ドイツ語学、歴史言語学、ゲルマン語学、日独語対照言語学、ドイツ中世文学、北欧神話
    研究課題
    文法範疇の歴史的生成、時制論、日独語における視点の相違、恋愛文学としての『ニーベルンゲンの歌』、民衆文学における作者性、日本におけるヨーロッパ文化の受容
    研究キーワード
    ドイツ語、文法、言語史、視点論、中世騎士文学、ゲルマン語
    所属学会
    九州ドイツ文学会、日本独文学会、日本言語学会、東北ドイツ文学会、国際アーサー王学会、日本歴史言語学会
    研究者紹介DB
    http://db.tohoku.ac.jp/whois/detail/af9ce2d9878899645fc2d70f39ad2ccf.html
  • 主要著書
    共著『自然との共生の夢―エコロジーとドイツ文学―』、共著『ドイツ語不定詞・分詞』
    主要論文
    「脱神話化の物語としての『ニーベルンゲンの歌』」、「ボイムラーのヤーコプ・グリム像」、「ドイツ語の歴史的現在」、「文学テーマ化される前のminneの語義」、「ドイツ語の未来形werden+不定詞へのbeginnen+不定詞からの影響」
    受賞
    第1回九州大学独文学会賞、第41回ドイツ語学文学振興会奨励賞