教員のよこがお

助教 佐々木 隼相 SASAKI Shunsuke

所属

となりにあって、
耳を澄ますということ

 うだつの上がらない、けれどユニークで惹かれるプロレスラーがいました。彼がリングの中心に立てるようになったのが2009年、わたしが高校三年生のときのこと。長らくヒール役だったこともあり、観客から「帰れ」と野次られながらも、その年の夏、アマレス出身のエリートレスラーを倒して優勝。そんな彼に対して、実況のアナウンサーは叫びました――「反骨、反逆、反体制」。
 こう生きなければと思ってしまったわたし。大学に入り、日本思想史という分野で勉強を続けてきました。もともと「反逆」の化身のような思想家を研究対象にしたのですが、その思想形成をたどるなかで進化論の受容史に興味が移り、しかし同じテーマで太刀打ちできない研究書が出版されたこともあって、早々に頓挫。紆余曲折あって、近世から近代の博物学史を専門とするようになり、さらに派生して、文字世界・文化と無縁に生きた/生きざるを得なかった人びとや人間以外の存在が発する「声」や「叫び」をすくい上げるべく、心血を注いでいます。
 現在は、仙台市内のとある食堂に通いながら、六十年以上にわたり店を切り盛りしてきた「お母さん」の聞き書きを行なっています――「無名」の人びとや動物たちの生を日本思想史に刻み込むこと。文字中心の学問に対する、東北という場所に育まれたわたしからの異議申し立てであり、かつ「反逆」のスタイルです。

  • 研究・略歴
  • 著書・論文等
  • 略歴
     岩手県盛岡市生まれ、和賀郡沢内村(現・西和賀町)育ち。最終学歴は、東北大学大学院文学研究科博士課程後期3年の課程を単位取得退学。
     吉野作造記念館非常勤研究員、中国・南開大学外藉教師、東北大学大学院文学研究科研究助手を経て、現在は同研究科助教。このほかに、仙台白百合女子大学や東北工業大学などで非常勤講師を務める。
    研究分野
    日本思想史、科学史・技術史、環境思想史
    研究課題
    ①博物学史
    ②環境思想史
    ③聞き書きによる東北の生活誌
    研究キーワード
    自然、環境、非人間、民話、聞き書き、東北
    所属学会等
    日本思想史学会、大学史研究会、文学・環境学会など。
    研究者紹介DB
    https://www.r-info.tohoku.ac.jp/ja/efa4684b27186cb8ca0f1f4209b6529b.html
  • 主要論文
    「‘博学’の復権―日本の200年(18, 19世紀)から考える―」『韓国実学研究』45輯、韓国実学学会、2023年7月
    「菅江真澄から考える土着的近代」『土着的近代研究』2号、土着的近代研究会、2024年4月