教員のよこがお

助教 丁 舒文 SHUWEN Ding

所属

和漢比較からひらく
和歌の表現世界

 すぐれた文学作品は、限られたことばのなかに、豊かな意味と奥行きを宿しています。和歌は、わずか三十一文字という短い形式でありながら、自然、感情、記憶、歴史、そして文化の蓄積を繊細に映し出す、豊かな表現世界を形づくってきました。そうしたことばのはたらきや、表現が生み出されるしくみを丁寧に読み解くことが、私の研究の出発点です。
 私が主に関心を寄せているのは、『古今和歌集』をはじめとする平安時代の和歌が、中国古典文学を受容するなかで、どのように独自の表現を形づくっていったのかという問題です。
 和歌のことばは、単に先行する漢詩文を取り入れるだけではなく、複数の典拠や文化的背景をふまえながら、独自の美しさをかたちづくっていきます。和歌を読み進めていくと、短い歌のなかに、恋や四季だけでなく、儀礼、政治、信仰、異文化との接触といった多様な世界が織り込まれていることに気づかされます。作品に秘められたこうした重層性を見つめ、その魅力をことばで捉えていくことは、困難を伴いながらも、たいへん刺激に満ちた営みです。

  • 研究・略歴
  • 著書・論文等
  • 略歴
    中国・蘭州市出身。
    東北大学大学院文学研究科博士課程後期3年の課程を修了。
    東北大学文学部研究助手を経て、2026年4月より現職。
    学位
    博士(文学)
    研究分野
    平安時代の和歌
    研究課題
    王朝和歌の研究
    和漢比較文学研究
    研究キーワード
    平安時代和歌 和漢比較 受容
    所属学会等
    和漢比較文学会
    全国大学国語国文学会
    日本文芸研究会
    研究者紹介DB
    https://www.r-info.tohoku.ac.jp/ja/0911226556ba1c1b97ecfa347e30e093.html
  • 主要論文
    「『古今和歌集』の恋歌と閨怨詩―「夕暮の秋風」を中心に」『日本文芸論叢』第29号、1-18頁、2022年3月。
    「『古今和歌集』の歌ことば「雲のはたて」の形成について ― 中国故事の受容という観点から」『文芸研究 : 文芸・言語・思想』第191集、1-13頁、2023年3月。
    「『古今和歌集』の歌ことばと乞巧奠 ―「くものはたて」を中心に」『日本文芸論叢』第30号、1-14頁、2023年3月。
    「『古今和歌集』と「子猷尋戴」の故事 ―「雪踏みわけて君を見むとは」という歌の解釈をめぐって」『文化 Culture』第88巻(1・2号)、1-20頁、2024年10月。
    “The Presentation of 'Kan 漢' in Kokin Wakashū: Taking the Relevance of Chinese Poetry Themed on ‘Tanabata’,” Embodied Discourse, Embodied Practice: The Body as Text, Medium, and Testimony in Japan, Mimesis International–Milan,pp.131-150,March 2026.