教員のよこがお

助教 費 康幸 FEI Kangxing

所属

宋明理学との出会い

 幼少より臆病な性格で、人一倍外界の変化に敏感だった私は、学校の漢文の授業で運命的な出逢いを果たします。古典を暗記し暗誦する中で、後世に文字として遺された古代の文章に安らぎを覚える自分を見出したのです。
 この感覚は研究に取り組むようになった今に至るも続いており、とくに宋代・明代の語録に触れていると、時に言いようのない安心感に包まれます。明鏡止水の境地に限りなく近い、と言ったら過言でしょうか。
 こうした感覚は、私が研究対象とする宋明の知識人たちがしばしば語る「自他内外の対立を超える」境地と、どこか通じるものがあるように思えてなりません。内外の区別を超えた心は、いかなる境遇にあっても主体性を保ち、道理に従って物事に応じることができるとされます。その境地に至ろうとして、往時の士大夫たちは理不尽な現実と向き合いながら自己を鍛錬し、時に独り読書に没頭し、時に同志と講学を行い、豊かな思想的遺産を築き上げたのです。
 私もまた、そうした思想的遺産が少しずつ伝えてくれる力を受け取るべく、日々テクストと向き合っています。

  • 研究・略歴
  • 著書・論文等
  • 略歴
    中国江蘇省溧陽市生まれ。四川大学外国語学部日本語学科卒業。東北大学大学院文学研究科修士課程修了、同大学院博士後期課程修了。
    学位
    博士(文学)
    研究分野
    中国哲学
    研究課題
    明代における思想交流と学問実践の諸相、陽明学成立前夜の思想動向
    研究キーワード
    中国近世思想史、明代儒学、朱子学、陽明学
    所属学会等
    日本中国学会、東北中国学会、中国文史哲研究会
    研究者紹介DB
    https://www.r-info.tohoku.ac.jp/ja/cfcfd64f765902d9d60b1beeed59e1e1.html
  • 主要論文
    1.王陽明の南京時代における学術論争――王道との議論を中心に(『集刊東洋学』第126号、2022年)
    2.正徳年間における魏校の思想活動――余祐『性書』に対する批判を焦点として(『文化』86(3・4)、2023年)