教員のよこがお

准教授 大谷 哲 OHTANI Satoshi

所属

  • 大学院文学研究科・文学部
  • 広域文化学専攻
  • 西洋文化学講座
  • 西洋史分野

歴史研究者は名探偵?

 仙台に来てから人に勧められるままに推理小説を読むようになりました。最近自覚するのですが、私の歴史研究はところどころ推理小説的です。東北大学出身の小説家、伊坂幸太郎さんのとある推理ものには、「君は、彼らの物語に飛び入り参加している」という言葉が出てきます。小説の探偵たちが出会う事件の謎は、犯人や当事者にとっては何ら謎ではありません。ただ単に、見ている視点が異なるだけで、得られる事件の像が異なり、大きな謎が生まれてしまう。これは歴史研究でもしばしば起こります。歴史上の「謎」の当事者たちが見た「事件」の側面をつなぎ合わせ、納得のいく全体像を描くことができた時の爽快感は推理小説よりも興奮するものがあります。一見矛盾するような史料や学説は、私にとって大いに「飛び入り参加」したくなる「事件」です。古代ローマ社会史の大家K.ホプキンスも、いみじくも言っています。歴史をいかに書くかという問題を考える時の最良の手引きは、黒澤明監督の映画『羅生門』だと(『神々にあふれる世界』 本村凌二他訳 岩波書店 2003年 日本語版序文)。まったく食い違う証言をする事件の当事者たちに『羅生門』の主人公は人間の闇を見ますが、歴史家は違ったものを見るのだと思うのです。

  • 研究・略歴
  • 著書・論文等
  • 主要担当科目
    西洋史演習、西洋史概論、西洋史各論
    略歴
    日本学術振興会特別研究員(PD)、東海大学文学部歴史学科西洋史専攻・講師、准教授を経て、2026年4月より現職。
    学位
    博士(文学)
    研究分野
    古代ローマ史、初期キリスト教史、熊の文化史
    所属学会等
    西洋史研究会、東北史学会、日本西洋古典学会、古代世界研究会、Asia-Pacific Early Christian Studies Society
    研究者紹介DB
    https://www.r-info.tohoku.ac.jp/ja/8ef5abf919fa6f77f7289f7f781a64f5.html
  • 主要著書
    大谷哲「内なる他者としてのキリスト教徒」大黒俊二・林佳世子・南川高志編『岩波講座 世界歴史 第3巻 ローマ帝国と西アジア 前3~7世紀』岩波書店、 249-267頁、2021年12月
    ロバート・ルイス・ウィルケン著、大谷哲ほか訳『キリスト教一千年史 地域とテーマで読む』(上・下巻)白水社、2016年
    主要論文
    大谷哲「イエスの親族と初期エルサレム教会-ダビデの系譜伝承の検討を通じて- 」『西洋史研究』 新輯52号、2023年、 1-21頁
    大谷哲「書簡を通じたキリスト教徒共同体のコミュニケーション」『古代文化』 75巻3号、2023年、 68-75頁
    受賞
    第64回日本西洋史学会大会 ポスター優秀賞(古代史Ⅰ), デキウス迫害における供儀執行証明書発行の意図-執行証明書パピルス史料の分析から―, 日本西洋史学会,2014年6月
    報道
    「世界をめぐるサンタクロース」帯田祥尚, 大谷哲『中日こどもWeekly(中日新聞)』2021年12月18日
    「ネロに名君の側面(世界史アップデート)」『夕刊 読売新聞』2023年7月25日