教員のよこがお

教授 阿部 宏 ABE Hiroshi

所属

フランス語学と
ミクロとマクロと

大学の合格発表の掲示板に自分の番号を発見した時は、本当に嬉しかったのですが、 わずか数日後の入学手続きの際に、英語に加えてもう一つの履修外国語を決めなければなりませんでした。 ほとんど何も考えずにフランス語にマークをつけ、その後もあまりまじめな学生ではありませんでしたが、 そのフランス語が自分の一生のテーマになってしまいました。
 創作とは別に、文学を研究するとは何をすることなのか? これが学部時代は全く理解できずに、潔癖さに由来する消去法で言語研究の方を卒業論文のテーマに選び、 敗北感とともに大学院に進学しました。 しかし研究も言語学も結局は潜在的な資質に合っていたのかもしれません。
 言語の研究は、伝統文法や学校文法の記述をいったん保留にして、 具体的データの検討を通じて、まだ未解明の規則を発見していくところにありますが、 それはミクロがマクロに繋がり、同時に固定観念が崩壊していく瞬間でもあります。
 もう30年近くもこのようなことをやってきたので、 日常生活のすべてにこのスタンスで関わるようなクセがついてしまいました。 先入観を排して眺めるミクロの世界は、学生との関わりであれ、職場の雑務であれ、 学外の人とのつきあいであれ、退屈とは無縁の、謎と驚きと発見に満ちた冒険の森のように日々思われます。

  • 研究・略歴
  • 著書・論文等
  • 主要担当科目
    フランス語学研究演習、フランス語学演習、フランス語学概論、全学教育フランス語。
    略歴
    早稲田大学文学研究科フランス文学専攻修士課程修了、 学習院大学人文科学研究科フランス文学専攻博士課程退学、 東北大学情報科学研究科で博士学位取得。東北大学教養部専任講師、言語文化部助教授などを経て現職。
    専攻は、フランス語学、日仏英対照言語学、一般言語学、ソシュール文献学など。
    学位
    博士(情報科学)
    研究分野
    言語における主観性、意味と外界認知、ダイクシス、自由間接話法、フィクションにおける語りの構造、メタファー、仏英日言語学史など。
    研究課題
    「日仏英の情報欠落文における主観性介入現象」、「言語における「望ましさ」主観性」、「小説の語りにおける時間・空間ダイクシスの仏日対照研究」、「自由間接話法と疑似発話行為」、「空間表現の文法化」など。
    研究キーワード
    主観性、望ましさ、文法化、認知意味論、ダイクシス、話法、発話行為。
    所属学会
    日本フランス語学会(編集委員)、日本フランス語フランス文学会(東北支部長)、日本認知言語学会、日本フランス語教育学会、日本言語学会、Société de Linguistique et Philologie Romanes、European Association for Japanese Studies。
    研究者紹介DB
    http://db.tohoku.ac.jp/whois/detail/f62677306a8501ac9ebea1a3e82d39d6.html
  • 主要著書
    (単著)『言葉に心の声を聞く –印欧語・ソシュール・主観性-』(東北大出版会)、(共著)『自由間接話法とは何か 文学と言語学のクロスロード』(ひつじ書房)、(共編著)『記号を読む –言語・文化・社会-』(東北大学出版会)、(監訳)エミール・バンヴェニスト『言葉と主体』(岩波書店)。
    主要論文
    ・「川口氏の「スーパー・プレディケート」仮説について」,『藝文研究』(慶應義塾大学文学部)第103号、pp. 243-228、2012年12月。
    ・A propos de l’hétérogénéité de la phrase contradictoire en français, Actas del XXXVI Congreso Internacional de Lingüística y Filologiá Románica (Ed. By Casanova, Emili / Calvo, Cesareo), Tome V, De Gryuter, pp. 323-329, 2013.
    ・「過去の語りに潜在する「わたし」・「いま」・「ここ」」、『フランス語学の最前線2・【特集】時制』(春木仁孝・東郷雄二編)、ひつじ書房、pp. 401-430,2014年5月。
    ・「フランス語のムードとモダリティ」、『ひつじ意味論講座 第3巻 モダリティI:理論と方法』、ひつじ書房、pp. 225-247、2014年9月。
    ・「疑似主体に基づく主観性について –自由話法の仏日対照を中心に-」、『フランス語学の最前線3・【特集】モダリティ』(川口順二編)、ひつじ書房、pp. 329-357、2015年5月。
    受賞
    日本フランス語フランス文学会奨励賞、1998年5月31日。
    報道
    ・著書『言葉に心の声を聞く』の書評:「読書文化」、河北新報2015年6月1日版、第19面。
    ・「文学部の研究紹介11・阿部宏教授・フランス語研究から言語学研究へ」、『考えるということ』(東北大学文学部ブックレット)、Vol. 11、2016年11月、pp. 13-19。