教員のよこがお

教授 城戸 淳 KIDO Atsushi

所属

  • 大学院文学研究科・文学部
  • 総合人間学専攻
  • 哲学倫理学講座
  • 哲学分野

概念の構築物のなかに
哲学的洞察の
結晶を見つける

18世紀ドイツの哲学者イマヌエル・カントの批判哲学を体系的・発展史的に読み解くことを研究の基軸に据えています。三批判書をはじめとするテクストを丹念に読み、一つ一つ概念を頭のなかで構築してゆく地道な作業をつづけていると、堅固な概念的な構築物のなかにカントの哲学的な洞察の結晶を見出し、しっかり体得した気がすることがあります。それがもっとも心躍る瞬間かもしれません。もちろんその心躍る洞察も、概念の建物から抜きだせば、跡形もなく消えてしまうのですが。それが哲学につきまとう歯がゆさであり、尽きせぬ誘惑でもあるように思います。
 また、カント哲学から手をひろげて、近代哲学史の研究にも取り組んでいます。研究のフィールドは、おおよそ17世紀の近代形而上学から、18世紀の啓蒙期の哲学をへて、19世紀のドイツ観念論やニーチェにまで到ります。私にとって哲学史研究の醍醐味は、さまざまな哲学者のキャラクターに即して問題事象を多彩な観点から考察し、時代的な規模で展開してゆく哲学的思索のうねりを追体験するところにあります。

  • 研究・略歴
  • 著書・論文等
  • 略歴
    1972年生まれ、東北大学文学部(哲学専攻)卒業、東北大学大学院文学研究科博士課程(哲学専攻分野)退学、新潟大学人文学部(人間学講座)助教授などを経て、2015年より現職。
    学位
    博士(文学)
    研究分野
    近代哲学史、カント哲学。
    所属学会等
    日本哲学会
    日本倫理学会
    日本カント協会
    研究者紹介DB
    http://db.tohoku.ac.jp/whois/detail/a28c1de410d334fc4f73135981de5825.html
  • 主要著書
    『理性の深淵──カント超越論的弁証論の研究』(単著)知泉書館,2014年
    主要論文
    城戸淳「時間と自我──カント超越論的感性論第七節における反論と応答」,東北大学哲学研究会編『思索』第47号,2014年10月,199~219頁.
    城戸淳「観念論論駁への途上で――カントの超越論的観念論をめぐる批判と応答」,『Νύξ(ニュクス)』第2号,2015年12月,130~145頁.
    城戸淳「自律の方式へ──カントの定言命法の諸方式」,東北大学哲学研究会編『思索』第49号,2016年10月,1~21頁.