教員のよこがお

准教授 大村 哲夫 OHMURA Tetsuo

所属

非合理のなかにある真実

人は「合理性」だけでは生きていません。
 大きな試煉やイベントなどで神仏に頼ったり、祈ったりという「宗教」から、勝負服や、試合前のルーティン、ジンクスに至るまでまで、人間は合理的ではないものに縋ることで「安心」を得ようとします。祈ったからといって客観的現実が変わる可能性や、神仏に献金した金銭に見合うご利益がある保証はありません。しかし、多くの人がそうした行動をとるのはなぜでしょうか。
 私は、人が合理性を追求する一方で、あえて非合理的なものに固執することに関心を寄せています。この非合理な行為の中に心的に重要な真実が込められていると考えるからです。人間のおもしろさがここにあります。
 私の研究は、こうした人間のとる一見非合理な行動を通して人間をみるということですが、加えて「臨床宗教師」養成という実践にも関わっています。「科学的」ではないケアが人を癒やすとは何か、「宗教」とは本当におもしろいのです。

  • 研究・略歴
  • 著書・論文等
  • 主要担当科目
    宗教学、死生学Ⅰ、死生学Ⅲ、応用死生学Ⅲ、
    学位
    博士(文学)
    研究分野
    宗教心理学、臨床死生学、宗教学、臨床心理学
    研究課題
    自他の死の受容と宗教性、臨床宗教師の養成、Guatemalaの宗教文化、
    研究キーワード
    死の受容、臨床宗教師、子どもの死、Guatemala
    所属学会等
    日本宗教学会、日本心理臨床学会、印度学宗教学会、日本老年社会学会、日本箱庭療法学会、日本ヒューマンケア心理学会、日本スピリチュアルケア学会、日本民俗学会など
    研究者紹介DB
    http://db.tohoku.ac.jp/whois/detail/e32bae067ade6909de810e42bdacd29f.html
  • 主要著書
    『精神対話論』共著、慶應義塾大学出版会2013
    『心理臨床とセラピストの人生 関わり合いの中の事例研究』共編著、創元社2015
    『宗教を心理学する』共著、誠信書房2016 ほか
    主要論文
    「生者と死者をつなぐ〈絆〉-死者ヴィジョンの意味するもの」『論集』39,2012
    「死者が卒業するということ-東日本大震災における慰霊と癒し-」『文化』77.1・2, 2013
    「心のケア・ワーカーとしての宗教者「臨床宗教師」とは何か-臨床心理士との比較から」『東北宗教学』10,2014
    Chizuko Saito, Tetsuo Ohmura, Hiroshi Higuchi, Shizuka Sato(2016) Psychological Practices and Religiosity (Shukyosei) of People in Communities Affected by the Great East Japan Earthquake and Tsunami Pastoral Psychology ( 65 ) 1-15, DOI
    報道
    読売テレビ『秘密の県民ショウ』2016、みやぎテレビ『OH!バンデス』2016、『河北新報』2016、『朝日新聞』2015、2010ほか。