教員のよこがお

教授 土屋 育子 TSUCHIYA Ikuko

所属

中国の戯曲文学が
映し出すもの

中国の古典文学のうち通俗文学を研究しています。特に戯曲文学、つまり演劇の台本が主な対象としています。中国のお芝居になじみがない人でも、『三国志演義』『水滸伝』『西遊記』などのお話をもとにしたお芝居があります、日本の能や歌舞伎のようなものですと言えば、イメージしやすくなるかもしれません。能や歌舞伎が日本の文化を象徴しているように、中国の戯曲文学も中国の文化をよく体現しています。
 中国では唐の末から宋にかけて民間芸能が盛んになり、その後多くの作品が作り出されて今に伝えられています。それらは、当時のさまざまな階層の観客に享受されると同時に出版されることで、観客や読者の嗜好を吸収しながら変容していきました。ちなみに、江戸時代の日本にも伝えられ、当時の日本人をも魅了しました。戯曲文学は人々の中から生まれ変化を遂げてきた、まさに中国の社会・文化を最もよく映し出す鏡の一つではないかと思っています。

  • 研究・略歴
  • 著書・論文等
  • 主要担当科目
    中国文学概論、中国文学基礎講読、中国文学演習、中国語学中国文学研究演習。
    略歴
    長野県生まれ。京都大学大学院博士後期課程研究指導認定退学。中国・北京大学に2年間留学。佐賀大学文化教育学部准教授を経て、東北大学大学院文学研究科教授。
    学位
    博士(文学)
    研究分野
    中国文学(戯曲・小説)
    研究課題
    中国戯曲のテキスト研究
    研究キーワード
    中国文学 戯曲 通俗小説
    所属学会等
    日本中国学会、東方学会、日本中国語学会、中国古典小説研究会、中国文学会(京都大学)、中国文史哲研究会、九州中国学会、九州大学中国学会
    研究者紹介DB
    http://db.tohoku.ac.jp/whois/detail/686339fc731ba079535d7c409e4338dc.html
  • 主要著書
    『元刊雑劇の研究』(赤松紀彦氏らとの共著)、2007年、汲古書院。
    『元刊雜劇の研究(二)』(金文京氏らとの共著)、2011年、汲古書院。
    『中国戯曲テキストの研究』、2013年、汲古書院。
    『元刊雜劇の研究(三)』(赤松紀彦氏らとの共著)、2014年、汲古書院。
    青木正児等著・李玲訳『品梅記』(土屋育子校訳)、2015年、中国・文化芸術出版社。
    主要論文
    「『董西廂』から『西廂記』への継承――曲辞と構成の側面から」『中国文学報』82、2012年。
    「岳飛をめぐる戯曲作品について――『東窓記』から『精忠記』への改編を中心に――」『集刊東洋学』110、2014年。
    「『千金記』版本考」『集刊東洋学』113、2015年。