研究室紹介

総合人間学専攻 東洋・日本美術史研究室 Eastern and Japanese Art History

美術作品の「かたち」から
人間と表現について
科学する。

歴史を研究する学問のなかで美術史は、表現されたモノ─「美術作品」を対象とする点に大きな特徴があります。美術作品は、それ以前の作品の「かたち」をもとにして生まれ、またそれ以後の作品に「かたち」を伝えます。また、美術作品は、それを作る人間と、それを見る人間との間のさまざまなコミュニケーションを媒介します。表現と人間の関わりを考えることから、さまざまな人間像や歴史像を浮かび上がらせることができるのです。
 作品が伝えている情報は「かたち」というなかなか言葉にしにくいものですが、それを、自らの感覚と知識をもとに言葉にする、それが美術史という学問の醍醐味です。このような学問ですから、まずは美術作品をよく見ることが必要となります。研究室のメンバーは作品観察のために国内・国外に出かけてゆき、新しい学生は、研究室としておこなう研修旅行の下準備や実地での観察を通して、研究の方法を学んでゆきます。その意味で美術史は体験の学問ともいえます。この研究室の扉を叩こうとする皆さんには、多くの美術を体験しようとする旺盛な好奇心を期待したいと思います。

先輩からのメッセージ

西村 友里 NISHIMURA Yuri

人文社会学科 3年
出身高校:山形県立山形東高等学校

お勧めしたい本:『地獄と極楽がわかる本 「あの世」と日本人の道徳観』双葉社 2012年
その理由:昔から日本人の間で語られ、恐れられてきた地獄とは、また極楽浄土とはどんな世界なのかについて分かりやすく解説。オールカラーでぺらぺらめくって見るだけでも楽しい。

ここが面白い!
文学部

東洋・日本美術史研究室では、2年次に平泉見学や展覧会見学に出かけます。美術作品の大きさや表面の質感など、自分の目で見なければわからないことを多く発見できる、とても良い機会です。国宝や重要文化財に指定されている作品を眼前にすると、制作されてから数百年が経過しているものとは思えぬ神々しさや、その作品が持つオーラ、品格に圧倒され、その時の感情は言葉にできません。
また、見学会の後には院生の先輩方と一緒に勉強会を行います。他の人の発表から、自分が気付かなかった点や知らなかったことなど、新たな知識・視点を得ることが出来ます。
このようにして様々な美術作品について学ぶことで、自分の知識の幅を大きく広げることができます。

文学部を目指す
皆さんへ

私は高校の頃から心理学に興味があり、2年次からは心理学を専攻するつもりでした。しかし、ある授業で東洋・日本美術史研究室の教授の話を聞いたとき、転機が訪れました。「私が本当にやりたかったことはこれかもしれない」と直感的に感じたのです。それが現研究室との出会いでした。
 東北大学文学部の魅力の1つは、専攻決定まで、25分野それぞれについて学ぶ機会があるということです。既にどの分野に行きたいか決まっている人も、もちろんまだ決まっていない人も、自分の興味関心の方向を限定せず、広い視野を持って初めの1年間を過ごしてみてください。自分の知らない新たな世界との出会いが待っています。