研究室紹介

広域文化学専攻 宗教学研究室 Religious Studies

理論的研究と
実践的研究から、
信仰の核心に迫る。

本州最北端、下北半島の恐山は死者の霊魂が集まる山といわれ、7月下旬の大祭時には多くの参詣者で賑わう。その境内の一角に五体の石仏が並んでいる。その石仏に赤い帽子と赤いヨダレカケをつけている老婆に「この仏サンは何。そして何をしているの」と尋ねた時のこと、即座に「お地蔵さんだよ。赤ん坊の時に死んでしまった子どもの供養に来たのさ」と答えが返ってきた。老婆は亡き子のために一心に祈っている。しかし実は、この石仏は地蔵ではない。五智如来といって、仏教的にいえば子どもを守ってくれる働きをもつ仏ではないのである。さてこのような場面をどう考えたらよいのであろう? 教義に則った信仰こそが本当の信仰なのだろうか、それとも間違った対象にであれ一心に祈っている老婆の「信仰」が本当の信仰なのか? 宗教学研究室では、このような問題をデスクワークとフィールドワークを併用しながら研究しています。関心があれば、研究室のウェブサイト<http://www2.sal.tohoku.ac.jp/religion/>をご覧下さい。

先輩からのメッセージ

谷澤 穂南 TANISAWA Honami

人文社会学科 3年
出身高校:青森県立弘前高等学校

お勧めしたい本:100の思考実験―あなたはどこまで考えられるか/ジュリアン・バジーニ 著, 向井和美 訳/紀伊国屋書店
その理由:当書では言語や宗教、環境、生命倫理といったあらゆる問題に関する100の命題が思考実験として取り上げられています。一筋縄では答えが導き出せない問いばかりであり、考えることが好きだという方にオススメです。

ここが面白い!
文学部

文学部の魅力は自主性の高さです。二年生から研究室に配属されますが、他の専修の授業も自由に履修や聴講をすることが可能です。様々な分野の知識に触れることが、研究テーマのきっかけとなるかもしれません。また、文学部だからといって必ずしも文献のみに頼った研究をするわけではなく、宗教学研究室では研究方法としてフィールドワークを選択する学生も多くいます。何を対象に選び、どういう方法で研究をするかは自分次第なので、研究室の先生方や先輩から指導してもらいながら、自分のなりのやり方で研究を深められるのが文学部の面白く、楽しいところだと思います。

文学部を目指す
皆さんへ

自分が何に対して関心を抱いているのかについて意識することができれば、入学後の勉強や研究がより楽しくなると思います。本や新聞を読んだり、ニュースを見たり、あるいは身の回りを観察してみたりすることも、自分が何を疑問に思っているのか、何に拘りたいのかについて考えるきっかけになるはずです。もちろん、学力の基礎を培うという点では受験勉強は大事なことですが、ふとした合間に外の世界に目を向けてみることによって、今まで知らなかったことや気が付かなかったことを意識するようになり、大学での学習がより豊かなものになると思います。