研究室紹介

広域文化学専攻 死生学・実践宗教学研究室 Death & Life Studies/ Practical Religious Studies

多様な価値観から生と死の現実を見つめ、寄り添う

 笑いの絶えない人生は幸福です。しかし、悲しみや苦しみのない人生はありません。とりわけ、死を身近なものとして経験する時に、私たちは大きな不安感や孤独感にさいなまれて苦しみます。
「人間らしく、自分らしく生き、そして死ぬ、とはどういうことか?」
 このような問いに対する答えを、宗教文化の中に人類が蓄積してきた知恵を参照しながら探求し、それを21世紀に生きる人々の現実の中でどのように活かすのかという実践に結びつけるのが死生学・実践宗教学です。
 より具体的には、グリーフケア、スピリチュアルケア、宗教的ケアについての知識と提供方法、そして古今東西の死生観について研究します。現代の医療や福祉の現場では、さまざまな専門職が家族とともに連携して行なうケアのあり方が模索されていますが、そのような現場で人々に寄り添う臨床宗教師、スピリチュアルケア師を養成し、よりよいケアの文化を育んでいくことも、死生学・実践宗教学専攻分野の重要な目標です。
 授業や研究室行事には、宗教学専攻、実践宗教学寄附講座と連携しながら行われるものが多く、充実した学生生活を送ることができます。

先輩からのメッセージ

金田諦晃 KANETA Taiko

文学研究科 博士課程後期1年
出身高校:東北学院高等学校

お勧めしたい本:清水 哲郎, 島薗 進 (編集)『ケア従事者のための死生学』2010, ヌーヴェルヒロカワ
その理由:死生学は、死生にまつわる苦悩が体験される“現場”の必要性から生まれた学問です。一つの学問分野では扱いきれないテーマも多くあり、本書は医学、看護学、社会学、教育学、宗教学、哲学など様々な視点からの議論に触れられる一冊です。

ここが面白い!
文学部

「面白くなければ研究じゃない!」が研究室のモットーです。死や生に関するテーマは、自他の苦しみや悲しみに触れることでもあり少し違和感がある言葉かもしれません。しかし、死や生に関わる人間の営みの中にいて苦しみ悩んでいる私や誰かがいるという現実を、一つ高いところから見渡す視点、そこから湧いてくる感情を表現しているとも言えるのではないでしょうか。「人ってすごい」「人って面白い」「だからこそ愛おしい」。そのような感動に出会うことがあります。

文学部を目指す
皆さんへ

どんな研究分野においても、自分自身のテーマを見つけることが必要になってきます。それは頭をひねって考えるだけでは見えてこないこともあります。自分の興味や問題意識、その背後にある自身の心が揺さぶられた体験は何か、そこで何を感じたのか。それらを見つめ続ける事が研究を推し進めるエネルギーになっていきます。日頃から身の回りの出来事にアンテナを張りつつも、自分自身の心にも目を向けて頂ければと思います。