履修モデル

日本語教育学専修

 人はことばを遣い、さまざまな人やモノ、場や情報と関わりながら生活を営んでいる。ことばは、教室の中だけで学ばれるものではなく、日々の営みの中で多様な関わり合いを通して学ばれていく。つまり、日本語を教えるとは、日本語を母語としない人がそれぞれの人生において、日本語によるコミュニケーションを通じて、自ら日本語を学んでいけるような教室内外の学習環境をデザインすることである。
 本専修では、まず日本語を学ぼうとする学習者ひとりひとりの人生とそれぞれが生きる社会では、何が起きているのか、その中でことばがどのように位置づけられ機能しているのかについて考える。そして、興味関心をもって実際に関わる、体験する、活動する、共有することを通して理解を深める。そのため、大学内外において日本語を母語としない人との関わりを奨励し、その機会を創りだしている。研究室には多くの留学生を受け入れ、学生には留学生のチューターやイベントの企画運営を経験させるなど、研究室の環境そのものを接触、交流の場にしている。また国内外で日本語を教えている場を直接見たり、実際に教えたりする機会も提供し、毎年学生たちはそれらの経験を通して具体的な課題や方向性を明確化する。
 同時に、人は、子どもから大人に至るまでにどのようにことばを学んでいるのか、これまで日本語は外国語・第二言語としてどのように教えられてきたのか、日本語とはどのような構造や体系をもったことばなのかについて、実際に日本語を母語としない学習者を対象に日本語を教えることを通じて理解を深める。特に本専修では、日本語の学習や教育に関する科目だけでなく、学習者に日本語を教える日本語教育学実習を必修科目としている。毎秋、3年生が学内の留学生や外国人研究員らを対象に、約10週間にわたる日本語の夜間コースをデザインし、実施する。学生たちには、この日本語コースを自律的かつ積極的に運営することを要求している。このことは日本語教育とは何かを実践を通して考え、自らのことばで論じるための基盤づくりに不可欠なものである。
 このようにして、今後より一層多様化、グローバル化の進む社会において、学習者に応じた学習環境をデザインできる優れた日本語教師を育成するだけでなく、異なる文化背景をもつ人同士の関わりに際して、互いに人として尊重しあいながら、課題を共有し、ともに解決していくための資質・能力を備えた国際的な人材の育成を目指している。日本語を教える日本語教師として、あるいは日本語を母語としない人々の日本語学習の支援者として巣立っていった卒業生は、国内外の場で活躍し、そのネットワークを通じてその輪を広げるとともに、日本語を通じて人をつなぎ、これからの新たな関わりや社会を生み出している。その他、本専修で身についた言語教育に関する専門知識、異文化コミュニケーション力、異文化理解力、課題解決力などを生かし、公務員、大学職員、学校教員として外国人と日本社会をつなぐ仕事に従事したり、国内外の大学院に進学してさらに専門性を高めたり、教育関連企業や商社などで国際的に活躍している卒業生も多い。

日本語教育学専修履修モデル

学年 授業科目名 単位数
1年次 人文社会総論 4
英語原書講読入門 2
人文社会序論 2
その他(国際共修ゼミなどの全学教育科目,基礎専門科目入門) 26~40
小計 34~48
2年次 日本語教育学概論 4
日本語教育学基礎講読 4
言語学概論Ⅰ,言語学概論Ⅱ,音声学Ⅰ,音声学Ⅱ,言語学基礎講読Ⅰ,現代日本学概論,社会学概論,社会心理学概論,文化人類学基礎講読,文化人類学基礎演習,日本思想史概論,日本語学概論 24~40
小計 32~48
3年次 日本語教育学実習 4
日本語教育学講読 2
日本語教育学演習 8
日本語教育学各論 4
日本語学各論,日本語学演習,行動科学各論,社会心理学各論,文化人類学各論,現代日本学基礎講読,言語学演習Ⅰ,言語学演習Ⅱ,言語学演習Ⅲ,言語学演習Ⅳ,記述言語学演習,理論言語学演習,実験言語学演習,社会学各論,行動科学演習,実験心理学各論 18~30
その他
小計 36~48
4年次 卒業論文・卒業研究 12
日本語教育学各論 4
その他 12~32
小計 28~48