履修モデル

東洋・日本美術史専修

 東洋・日本美術史の名が示すように、東洋、主に中国・朝鮮半島と、日本の美術を対象とし、その歴史的展開を研究する分野である。
 講義は、日本美術史を考える上で基礎的な方法と代表的な作品について論じる概論と、仏教美術史、中国美術史、日本近世絵画史などを論じる各論を、学外から招いた講師による集中講義を含めておこなっている。また、テクストの講読、自発的研究をもとに互いの討論によって進められる作品研究や演習があり、さらには、美術作品の調査法や写真撮影の技術を身につける実習がある。実習では実際の作品の取り扱い方も身につける。
 どの授業でもプロジェクターによる画像提示を駆使し、美術作品の素晴らしさを視認するとともに調査研究の着眼点を具体的に示すことに努めている。
 なお、研究室では毎年春または秋に、主として関西方面へ「古美術見学旅行」をおこなうとともに、随時博物館や古寺見学を企画し、作品に対する鑑賞眼を養う機会を多く提供している。
 ところで、東洋や日本の美術とは、いわゆる古美術として括られるような世界である。ここには、仏像、仏教絵画、寺院壁画、絵巻物、屏風絵、掛軸といった彫刻・絵画群や、陶磁器ないし金属・漆による工芸品などが含まれる。これらは西洋の作品に較べれば一般にはなじみの薄いものかも知れない。このような対象を研究する意義は何だろうか?
 かたちから得られる情報は、文字から得られるそれよりも、はるかに曖昧である。しかし、そこには、文字にはない豊かな内容が込められてもいる。例えば、そこには、それを作り上げた人間の手の動きを伝える鑿痕や筆触がある。それらに触れるとき、現代の私たちが、時空を越えて往古の人と交感しているような気分になる。美意識を共有する場に参入すると言ってもよい。また、描かれたモチーフには、当時の人々なら理解できたさまざまな意味がある。私たちは、文字には残りにくいそのような意味を「美術」から知ることができる。この分野は、私たちがすでに見失った、近代以前の人々の美意識や価値観を、「美術」作品を通して直接知ることを目指しているといってもよいだろう。
 かたちへの関心は洋の東西を問わない。1年次、2年次には西洋美術史への関心もぜひ深めて欲しい。

東洋・日本美術史専修履修モデル

学年 授業科目名 単位数
1年次 人文社会総論 4
英語原書講読入門 2
基幹科目:表現論・芸術論 2
その他(全学教育,基礎専門科目入門) 26~40
小計 34~48
2年次 東洋・日本美術史概論 4
東洋・日本美術史基礎実習 4
美学・西洋美術史概論 4
西洋美術史概論
東洋・日本美術史基礎講読 4
その他 16~32
小計 32~48
3年次 東洋・日本美術史各論 6
東洋・日本美術史講読 4
東洋・日本美術史演習 4
美学・西洋美術史各論 4
西洋美術史各論
その他 14~30
小計 32~48
4年次 卒業論文・卒業研究 12
東洋・日本美術史各論 4
東洋・日本美術史演習 4
その他 12~28
小計 32~48