リンクは自由!
『月刊言語』2004年1月号pp.84-85 掲載

言語学 オン ザ WEB 第1回 e博言学

後藤 斉 (ごとう ひとし)


言語学への関心の源は個人により様々であろうが、エキゾチックな言語や 言語の多様性に触れることもその一つであろう。インターネットの大きな特徴は 空間の制約を越えた情報の伝達であり、遠く離れた言語に接する機会ともなる。

世界の言語のカタログとしてはSIL Internationalによる Ethnologue が 著名である。これは書籍やCD-ROMとして出版されていて世界中の数千の言語 それぞれの概要を知るのに便利であるが、その内容を検索できる ウェブサイト (http://www.ethnologue.com/)も用意されていて、言語名のほか国や語族から 検索することができるようになっている。

日本が誇る亀井孝他編著『言語学大辞典』に関しては、出版社である三省堂の サイト内に 概要の紹介のページ (http://www.sanseido-publ.co.jp/publ/gengogaku.html)があって、 「世界言語編の項目一覧」が置かれているほか、別巻『世界文字辞典』の一部の 項目が閲覧できる。このほか、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 「言語学大辞典データベース」編纂委員会による 「SLE : 三省堂「言語学大辞典」データベース」 (http://jcs.aa.tufs.ac.jp/SLE/)においてアジアアフリカ分野を中心に 本文の電子化と画像・音声データの入力が進行中であり、2004年度完成予定との ことである。現在はこのサイトで試験的な検索が可能になっている。

中西亮『世界の文字』(松香堂, 1975)は、著者が年月をかけて集めた 諸言語の日刊新聞を実例として挙げながら文字通り世界の文字を紹介する本であった。 没後 そのコレクション (http://www.nacos.com/nakanishi/akira1.html)は国立民族学博物館に寄贈されて、 資料として活用されているとのことだが、その精神を引き継ぐサイトとして、 中西印刷による「世界の文字」 (http://www.nacos.com/moji/)がある。

現在、新聞や放送がインターネットを通じて閲覧・視聴できるのは周知のことで あるが、世界の諸言語の例示という観点から各地の新聞社・ラジオ局のサイトを 整理してあるのが「言語の杜」 (http://www.languagemuseum.com/japan/", ミラーサイト: http://www.gengonomori.co3.jp/)で、約100言語を挙げる。放送に限定すれば、 「世界のインターネット放送ガイド」 (http://www.webcastpilot.com/japan/)が世界の1900あまりのテレビ・ラジオ局を 網羅しており、言語名から検索できる。実際の閲覧や視聴にはフォントや ソフトウェアの設定が必要な場合があり、放送時間が限定されていることも多いし、 小言語の場合は、現地の放送が聞けるとは限らず、VOAなど欧米や中国などからの 放送であったりもする。それでも、サンスクリットやラテン語の放送を インターネットで聞くのもなかなか乙である。

放送は言語使用の生の実例であるから躍動感があるが、それだけに扱いづらい 面もある。ほぼ同じ内容のテキストを多言語で収録した音声データとして IPA Handbook (国際音声学会編、竹林滋他訳『国際音声記号ガイドブック』 大修館書店, 2003)所収のものがあるが、これはカナダの ビクトリア大学のサイト (http://web.uvic.ca/ling/resources/ipa/handbook.htm)からダウンロードすることが でき、『ガイドブック』と併用することで一般音声学の理解を深めることにつながる。

世界の諸言語のデータを集めるサイトは少なくないが、特徴的なものとして The Rosetta Project (http://www.rosettaproject.org/)を紹介したい。これは、言語研究・教育の 資料を提供するとともに、将来において消滅した言語の再生の助けになろうとの 期待をももって、1000言語の概要、文法記述、テキスト、音声などを永続的に 保存しようという試みである。現在はまた蓄積にむらが多いが、カバーする言語の数は すでに1000を超えており、注目に値する壮大な企画と言えよう。

(東北大学大学院文学研究科/言語学・ロマンス語学)


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「言語学 オン ザ WEB」

「言語学 オン ザ WEB 第1回 e博言学」
『月刊言語』第33巻(2004)1月号, pp.90-91.
「言語学 オン ザ WEB 第7回 テキスト・ツール」
『月刊言語』第33巻(2004)7月号, pp.76-77.

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