PRO-pose.

社会を生きる先輩たちの
「プロのポーズ」とは

人生と向き合う、心の置き方を学ぶ。放送局社員 清野優理さん 人生と向き合う、心の置き方を学ぶ。放送局社員 清野優理さん

朝の情報番組にかける情熱と喜び。朝の情報番組に
かける情熱と喜び。

「長い間多くの方にご覧いただいている朝の情報番組なので、企画コーナーを担当する際には身が引き締まる思いです」。
そう語るのは、東北放送の報道制作局でテレビ制作部に籍を置く清野優理さん。清野さんは現在、月曜から金曜の朝に放送されている『ウォッチン!みやぎ』、そして土曜朝の『サタデーウォッチン!』のフロアディレクターとして、プロデューサーやカメラマン、出演者とコミュニケーションを取りながら、的確に指示を出しつつ番組を進行する立場にある。一方、番組内のコーナーのために、あらかじめ自分で取り上げるテーマを企画し、リポーターとカメラマンを連れ立って取材に赴き、撮ってきた映像を編集してVTRを作る役割も担っている。
「新しいお店を紹介した放送後に“番組を見たというお客さんがたくさんきました!”とご連絡いただくこともあります。ほっと嬉しくなるとともに、取材で出会った方の人生に少しだけ関わることができたという充実感もあり、この仕事を選んでよかったと思います」。

恩師と二人三脚で、努力を重ねた日々。恩師と二人三脚で、
努力を重ねた日々。

物心がついたときから絵や漫画を描くことが大好きで、小学生の頃にはすでに漫画家になることを将来の目標に据え、原稿用紙やペンを揃えていたという清野さん。
「高校時代まで毎日ずっと欠かさずに絵を描いていました。テレビ番組制作では情報をわかりやすく伝えるために絵を描くことが多いので、とても役立っています」。
好きなこととして絵を描き続けるなか、高校2年となり大学進学が視野に入ってきたものの、あれこれ迷うばかりで一向に具体的なイメージを持てなかった清野さん。しかし、担任の先生に東北大学進学を勧められたことが、清野さんの迷いに一筋の光を射すきっかけとなった。
「恩師の言葉に、当時ありあまっていたパワーを注ぎ込む対象を見つけた喜びがありました。もともと熱心に勉強するタイプではありませんでしたが、東北大学進学という目標を得てからというもの、一気にエンジンがかかった感じです」。
清野さんは予備校に通わず、東北大学進学を決意した2年生の6月から、恩師と二人三脚の体制で勉強に集中。数学と英語の先生にも個人指導をお願いして、始発電車で通学し高校の門が閉まるギリギリの時間まで先生方に教えを請う生活を続けた。
「東北大学のなかで、圧倒的に興味を惹かれたのが文学部でした。25の研究室はすべて面白そうで“4年間も勉強するなら文学部しかない”と決めました」。
実家の書棚には、両親が好きだった心理学の本が並んでおり、それも文学部を選んだ一因だったと清野さんは微笑む。

自分という人間らしく、夢の実現に向かって。自分という人間らしく、
夢の実現に向かって。

こうして文学部に入学した清野さんは、2年進級時に心理学研究室を選択した。
「自分の人生を豊かにしてくれる学びができたこと、また気持ちを惹きつける面白い授業をされる多くの先生と出会えたことが、かけがえのない財産となっています。フランス語の授業では、映画や音楽などさまざまな題材を例に教えてくださった小林文夫先生のおかげで、フランスの音楽と映画を楽しむ喜びが人生に加わりました。最も印象的だったのは、心理学の辻本昌弘先生の“人間は意識するだけでは変われない”という言葉。例えば、冬場にこたつで寝てしまう習慣から脱却する場合には、こたつで寝ないと決意するより、こたつそのものを無くす、という環境の変化のほうが大事であるということですが、このような実生活に即した学びがあることも心理学の面白さのひとつでした」。
今後は、長期密着型ドキュメンタリー番組の制作を通して、地元宮城で頑張っている人たちの魅力を映像化していきたいと語る清野さん。常にポジティブな姿勢で、自分を磨き高める環境の変化を受け入れながら、その夢の実現に向かっていく。
「心理学は人間のリアルなあり様に迫る学びでした。辛いときにネガティブにならず、できなかった自分を責めすぎることもなく“それも人間”と考えると気持ちが楽になる。4年間では人生に向き合う際の心の置き方も学ぶことができたと思っています」。

清野 優理Yuri Seino

2018年3月、文学部人文社会学科心理学専修卒業後、東北放送に入社。卒業論文は「なぜ人は踊るのか:舞踊に関する心理的研究」。