東北大学フランス語学フランス文学研究室
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留学体験記

リヨン(修士2年)

こんにちは。これは、ある大学院生の留学記です。その学生の留学後の感想が書かれています。彼は、リヨン高等師範学校へ、大学間協定に基づく交換留学制度を利用して、約1年間、留学していました。留学にご興味がおありの方、あるいはフランスはどんな国なのか知りたい方、そんな方には、もしかしたら参考にしていただけるかもしれません。

【リヨン】
リヨンは、ヨーロッパというと思い浮かべるような街です。ソーヌ、ローヌの2本の川が流れていて、その川沿いに建つ建物ひとつひとつが美しく、散歩するだけでも楽しい街です。実際、夕方、だいたい1時間くらい、運動のために自転車で川沿いをよく走っていました。街並みを眺めながらの散歩は、もうそれだけで、とても気分がよいです。

イタリア・ルネサンス建築の影響色濃い古いアパルトマンが立ち並ぶリヨン旧市街、そこからゴンドラで登れるフルヴィエールの丘、ローマ時代の遺跡、リュミエール博物館と1年に1回開催されるフィルムフェスティバルをはじめとした映画文化、そしてたくさんのおいしいレストラン、観光してみると2,3日ですべて見て回れるくらいの決して大きくはない街ですが、いろいろな魅力が詰まっていると思います。パリほど都会ではないけど、決して田舎ではないくらいの、便利だけどせかせかしていない住みやすい街だと思います。

【高等師範学校】
わたしが留学していたリヨン高等師範学校という学校は、正確にいうと、大学ではありません。ときに、アグレガシオン(大学教員資格試験、入学試験よりもさらに難しく、生半可な努力では太刀打ちできない、難関試験)を受験するための予備校、なんてちょっと皮肉っぽく呼ぶひともあります。これはなぜかというと、そこで開講されている講義の多くがアグレガシオンを受験するための準備講座だからなのです。

とはいえ、高等師範学校で開講している講義がすべて、アグレガシオン一直線の講義というわけではありません。また、リヨン市内の大学間では、学生がどの大学でも講義を受けられるように取決めを結んでいます(このような都市はけっこう多いようです)。通学は大変かもしれませんが、都市内のすべての大学で好きな講義を受けられるというのは、選択肢が増えて素直によいことと思います。そういうわけですので、予備校へ来てしまったと思っても、受けられる講義がない、ということにはなりませんので、心配はいりません。

キャンパス内には、図書館、学食はもちろん、学生寮、スポーツジム、果てはヤギを飼う小さな牧場まであり、「ここに暮らす学生はキャンパスから外に出なくなる」と言われるくらい、学内施設は至れり尽くせりの充実ぶりです。ただ、電波がちゃんと届いていないらしく、キッチンでインターネットが使えないのがたまにキズでした。

さて、肝心の勉強は、やはり大変でした。そもそもフランス語で講義を受けること自体がわたしにとっては大変だったので、これに加えて内容がやけに込み入っていて、よけい大変でした。教壇で教授が話しはじめるやいなや、学生は全員教授の言葉を全部ノートに写しているのか、と思わんばかりの形相でペンごと机にかじりつきます。と思うといきなり教室全体がどっと笑います。笑いのツボも講義の要点もどっちもよく分からないという、ちっとも楽しくない状況でした。 どうしても授業のペースには追いつかない、と困って、友達にノートをコピーさせてもらって頑張りました。

古今東西問わず、試験勉強は学生の悩みの種です。インターネットがあるとその誘惑に負けるというので、みんなそろってネットのないキッチンで勉強したことがあります。しばらくは、勉強していました。ただ今度は、 ≪ Je ne veux pas travailler ~♪≫ とみんなで歌をうたって「もう勉強はやめだー!」と騒いでしまうことがあり、ギター買ってよかったな、と満足しましたが、勉強の邪魔になったかもしれないな、と後悔もしました。

テストの本番では、度胆を抜かれ、意気消沈しましたが、頑張りました。開始の合図と同時に、論述試験なのになぜかみんなすぐに書き始め、わたしが戸惑っているうちに、みなさんそれぞれたっぷり書いてある答案が出来上がっていました。あとで分かりましたが、あれはいきなり文章を書いているわけではなくて、答案の体裁を作り、プランを書き、それからやっと自分の論述回答を書き始めているようです。試験にはまず作法があり、さらに学生それぞれが自分のスタイルを持っているようです。

それにしても学期末最後の期間はてんやわんやでした。ある人々は修論を仕上げるのにやっきになり、ある人々はアグレガシオンの準備に追われ、学生みんな図書館に集合していました。図書館の一室の端から端まで届くほど大きな机3台分を占領する本の山が、アグレガシオンまでに読まなくてはならない本だと分かったときには、エリートは伊達じゃないんだな、と見直しました。友達は、ときには自販機でお茶やコーヒーを飲んで休憩して「もうやだー」と言っていつまでも終わらなそうにしていましたけど、けっきょくみんな期日までに修論を仕上げてヴァカンスに出かけていきました。何だかんだで、はっちゃけているようで、やることはきっちりやるなんてかっこいいじゃないか、と思いました。

【ふくよかなる食生活】
それにしても、フランス滞在中はよく食べました。
そもそも1人前の分量が、日本人の感覚とまるで違います。昼食はほとんど学食で済ませていましたが、日本の倍くらい食べさせてもらえるので、夕食はサラダでも食べればそれで十分です。

わたしは大学の寮に入りました。部屋は、キッチンを共有する5人部屋で、5人それぞれにシャワー・トイレ付の個室が与えられます。その5人部屋に、フランス人2人、日本人1人、ブラジル人1人、中国人1人というメンバーでした。

この写真の料理は、ムケーカという、ブラジルの、たらを野菜と油で煮込んだ料理です。ごはんとファロファ(キャッサバの粉をたまねぎ、ベーコン、バナナと一緒に炒めたもの)と一緒に食べます。魚介と野菜の風味のスープがごはんとファロファによく合い、とてもおいしいです。こんな風にお国自慢の料理を留学生同士で調理するのも楽しいと思います。わたしは定番の寿司や焼きおにぎりを用意したところ大変喜ばれました。

朝食が一番大きく変わったかもしれません。伝統的な日本の朝といえば、白いご飯に味噌汁そして納豆だとおもいますが、留学中は、シリアルとビスコット、それからヨーグルトと果物を食べていました。ときにはみんながそろって、このようにフルーツジュースを作るなんてこともありました。わたしはこの朝食スタイルを大変気に入りました。ほとんど何も調理しなくていいから簡単だし、さっぱりしたものが多いので、寝ぼけた状態でもさらっと食べられます。甘いものばかりで、幸せな気分になれます。

レストランに入れば、その国の定番料理が食べられます。それに、注文の仕方から、メニューの書き方、マナー、そしてレストランという場所の持つ慣習的雰囲気が日本と何となく違って、おもしろいです。一応、他の国を旅行した時にも、一回くらい(お金がかかるので、あまり頻繁にレストランでは食事をしません!)はレストランに入って食べてみました。それぞれの国にそれぞれの味があり、楽しいです。イタリア料理は最高です。でも食べ過ぎには気をつけましょう。太るし、お腹をこわします。

【旅行】
せっかくフランスまで来たのだから、ヨーロッパ旅行をしなくてはもったいない。と、わたしは考えました。これが、ドイツ人とか、イギリス人とかだと、片道まあせいぜい4,5時間くらいで来られるような場所なのでしょうけど、日本人にとっては、フランスまで何だかんだで、結局20時間です。お金はもちろんですが、時間と体力のもとを取りたい、というのが人情ではないでしょうか。

フランスからの国外旅行は飛行機が中心になると思います。格安航空会社のおかげで、たとえばeasy jetという会社のホームページで、リヨン‐ローマ間のフライトを調べると、安いときなら30ユーロ前後の片道航空券が見つかるはずです。何しろ、航空券は早めに買うことだと思います。それだけで値段が倍くらい違うこともしばしばです。

フランス国内旅行なら、何といってもパリということになるでしょう。初めて行ったときは、午後の終わりごろに着き、とりあえずホテルに荷物を置いて、セーヌ川へ向かったところ、ちょうど夕焼けが見られて何だか感動しました。ちなみに、学生なら、パリに限らず、フランスの美術館は無料で見学できます。ありがたい話です。ロンドンは、誰でも無料で見学できます。

旅行に便利なのがフランスの鉄道会社SNCFが出している、Carte 12/25という割引カードです。その名の通り、12歳から25歳対象で、このカードを持っていると乗車券を約30〜40%割引で購入することができます。このカードが50ユーロほどします。パリ‐リヨン間のTGVがだいたい60ユーロとして、この30%割引となると、約40ユーロになり、20ユーロ安く買えることになります。これが往復ですから、40ユーロの節約になります。だいたい2回の鉄道旅行で元は取れることになります。25歳以下なら作って損はないでしょう。

「新しい都市につくたびに旅人は、すでにあったことさえ忘れていた自分の過去をまたひとつ再発見する」なんてかっこいいことを言うのは、わたしではなく、マルコ・ポーロです(イタロ・カルヴィーノ『見えない都市』)。何しろ旅はいいものです。せっかくなので、いろいろなところへ行けるといいと思います。

【留学をおえて】
わたしは留学の1年間をとても長いと感じました。たくさんの知らないことを経験したように思います。いろいろ勝手が違うので、何も知らないと、いちいち苦労します。そうして、だんだんそこでのやり方というのを学んできます。その時間を過ごしたわたしは、ずいぶん長い間遠くで過ごしていたような気がしています。

もっと長く滞在していたいとも思いました。それほど楽しかったし、生活に満足していました。でも、それは現実離れした望みでした。「ここでの生活はわたしの本当の生活じゃない。わたしの生活はわたしの国にある。そうやって、ここは夢の中みたいだから、ここでの生活は楽しいんじゃないかな」と、あるときブラジル人が言いました。自分の国に置いてきたものがあるから、あるいは置いてきたから、ふわふわした状態だったから、楽しかったという面は確実にあると思います。

そのとき、ひとによっていろいろなことに気づくと思います。わたしは、日本へ帰ってから自分は何をするのか、何をしたいのか、ということを考えました。そう考えたとき、何を選ぶかは人それぞれだと思います。26歳ですでに転職3回、試しに修士号をフランスに取りに来たけど、やっぱり学術的な世界は肌に合わないから、前務めていたところの上司もポストを融通してくれると言ってくれているし、また会社勤めをしようと思う、と言っていた友達を思うと、想像以上に何をするかは自由で、やってみればやれるものなのだな、といまは思います。


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