私は現在〔原稿執筆時〕、アイルランドのコーク大学(University College Cork)に留学しています。
今回の留学は私が受講しているグローバル安全学トップリーダー育成プログラムの一貫で、留学経費に関してもこのプログラムから支援を受けています。コーク大学はブール代数を考案したジョージ・ブール(George Boole)が教鞭をとった大学で、図書館には彼の名前が冠されています。私はコーク大学哲学部(Philosophy Department)のアレッサンドロ・サリーチェ(Alessandro Salice)教授の下で指導を受けるべくこの大学での研修を計画しました。サリーチェ教授はブレンターノ学派や初期現象学派の志向性理論への造詣が深く、共同志向性や共同感情の研究分野でも指導的立場にいる研究者のひとりです。
留学中はそれらを主題とする授業を受けつつ、短い期間ですがサリーチェ教授から論文の指導も受けています。
私は10か月間、イタリアに留学をしてきました。留学先のパドヴァ大学では、関心があった美学や美術史の授業を受けてきました。最初の頃は、慣れない言語や文化に戸惑うこともありました。しかし、留学の後半では、友達や先生方の支えのおかげで、実り多い留学生活を送ることができました。
日本でしっかり学ぶべきことはたくさんあるのだと思います。しかし、ほんのちょっとだけ回り道をしたからこそ得られた、素敵な学びもありました。今回の留学は、私にとって、大学での学びが自由で広いものであると実感できた、有意義なものでした。